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ボリビア料理に浮かれていたら「サンタ・クルス」で怖い目に遭った

ボリビア料理に浮かれていたら「サンタ・クルス」で怖い目に遭った

前夜にラ・パスを定刻1時間遅れの20:30に出発したバスだが、ペルーのバスに比べるとグレードが落ちる。一番困ったのは、トイレが故障中で使えないことだ。

深夜12時近くに尿意を催してきたが、バスは暗い道路を走り続け、ドライブインなどがある気配は感じられない。

他の乗客も同じ状況なのだろう、誰かが「止めてくれ」というような事を言ったようだが、ドライバーは「もう少し待て」とでも答えたのか、そのままバスを走らせる。

車内のあちこちでブーイングが上がり、革命でも起こりそうな空気になり、やっとバスは路肩に停車した。

道端で用を足して「やれやれ」と思いながら席に戻ると、ゆっくりとバスが動き出す。窓から外を見ると、何と、一人の乗客がズボンのベルトをずり上げながら、バスを追って来るではないか。

「ストップ」と叫ぶとバスが止まり難を逃れたが、深夜の山道で置いてけぼりを食ったら、現地の人でも途方に暮れてしまうだろう。

休憩のたびに人数確認して出発する日本の高速バスを思い出し、そのサービスの高さに改めて感心。

海外の長距離バスで一時降車する時は、必ずバスの特徴と集合時間を確認して、同じバスに乗ってた人が常に視界に入るようにするなど注意していないと、置いていかれるかもしれない。

ドライバーや隣席の乗客に自分の存在をアピールしておくことも必要かな。

夜の車内は寒いくらいで、用意された膝掛けが有り難かったのだが、昼が近づくにつれて汗臭い匂いが車内に充満し始める。

そう、今は標高3650mのラ・パスから、標高437mのサンタ・クルスに向かって駆け下っているところなのだ。

料金所か検問所か分からないが、バスを降りると、物売りの子どもたちが寄ってくる。
子どもたちから買ったアイスキャンディーの美味しいこと。

 

13:00 ドライブインで昼食
「ロクロ・デ・ガッリーナ    locro (煮込み) de gallina (雌鶏)」滋味溢れる旨さ 10BOB (160円)

「マハディート・デ・チャルケ  majadito (リゾット)  de charque (干し肉)」「majadito  de  pollo (鶏肉) 」も美味しそうだった。 15BOB (240円)

こちらはフルーツジュース

14:00 ドライブインを出発。
1600 サンタ・クルスのバスターミナルに到着。

到着と同時に、ブラジル行きのバス手配に奔走する。
多くの旅行代理店が看板を掲げる中から、有利なチケットを手にできるかどうか、それはもう運だろう。

とはいえ、旅行代理店を選ぶ何かしらの基準は必要なわけで、「奥まった場所のブースなら、たぶん地代が安い分、商品価格は良心的ではないか」という考えのもと、飛び込んだ代理店でブラジル国境の町・コルンバ行き 21:30 のバスを 150BOB  (2400円)  で予約。
やはりここも、クレジットカードの使用は不可。

バスの手配が完了したので、ほっと一息つきながら、食事を摂ろうとターミナルから表に出る。

バスターミナルを背に、左側にはATMが並んでいる
バスターミナル前の道路を横断すると、市が立ち並んで賑やか

目に止まった食堂に入り、ボリビアの家庭料理「ピケマチョ」をオーダー、ハヤシライスみたいで、日本人の口に合う料理だ。

スペイン語でPiqueは「競争心」   Machoは「男らしい」という意味で、つまり「男らしさを競う」ということであり、これだけボリュームある料理を食べることができたら男らしい、というのが名前の由来のようだが、何ともまあ、食いしん坊が男の価値基準というのは、「所変われば品変わる」で面白い。

地続きの南米各国では、それぞれ隣国と似通った料理が多いが、「ピケ・マチョ」はペルー料理の「ロモ・サルタード」に近い。

 

食堂を出てそぞろ歩きしながら、路上でパンを売るボニータにカメラを向けたりすると、はにかみながらポーズをとってくれる。
世界最貧国の一つといわれ、ゲバラやブッチ・キャシディ、サンダンス・キッドらが射殺された国であるボリビアに対して私は、ネガティブなイメージを抱いていたのだが実は、「料理は旨いし、姉ちゃんは綺麗だ」という、古い歌謡曲を地でいくような、天国に一番近い国であったのだぁ。
と、図に乗った私はフラフラと路地にまで入り込み、しかしその瞬間、殺伐とした雰囲気に「あ、これはマズい」と正気に返り、引き返そうとした時、声をかけられた。

 

振り返ると、制服に身を固めた大男が「俺はインターポールだ。パスポートを見せろ」と立ちはだかっている。
「これが噂にきくニセ警官だな」と思い、制止を振り切って人ごみの中に逃げ込んだ。「これで安心」と振り返ると、私服の男も加わり、3人に増量して追ってくるではないか。
バスターミナル駅に駆け込んだものの、壁際で三人に取り囲まれてしまった。

 

大声をあげて抵抗していると、周囲に人垣ができた。これで手荒なことはできないだろう。駅の係員も駆けつけてきたので、「このニセ警官につきまとわれているんだ」と訴えると、「彼は本物の警官だぜ」との返事。
だって、いかにも悪人面なんだもん。「銭形のとっつぁん」の格好なら、すぐインターポールだとわかるのに。

 

彼らは「事務所に来い」と言うのだが、本物の警官だと分かった後でも、これはあくまでも拒絶した。何故ここまで抵抗したのか、私自身にも分からない。結局のところ、彼らは私のパスポートを写メると立ち去って行った。

 

旅を積み重ねた経験の結果、「第六感に従え」という教訓が、心の中に財産として残っている。
マリファナとか買春とか危険な香りを放つものに近づくようなことが、「非日常」という旅の醍醐味を満喫することなのだ、そう錯覚した若い時代もあったが、武勇伝を得る代償に、人生を差し出す必要もない。

 

警官たちの要求に対して「ボリビア警察署の内部拝見」という興味本位でついて行かず、「何か変だな」という違和感に従い、拒絶して良かった、と思っている。
しかし同行を拒否したことで、ボリビア出国の際に何か意地悪されるのではないかと心配したのだが、取り越し苦労に終わることになった。

 

ブラジル・コルンバ行きのバスに乗車するため、チケットを手配した旅行代理店に行くと、他の何人かの乗客と一緒に荷物のチェックインカウンターに連れて行かれる。

大勢の人で賑わうターミナル内

 

荷物を預けて待合室で待機するのだが、発車時刻の21:30を回っても何のアナウンスもない。不安になって近くにいた中年の男性に確かめると、あくびをしながら「まだだよ」との返事。

 

ブラジル人だという彼は話し好きな男性で、仕事の関係でボリビアにはよく来るらしい。ボリビアは物価が安いため、ブラジルからの企業進出が活発で、ブラジル人のための学校建設なども盛んだということだ。
バスターミナル使用料2.5BOBのチケット提示してバスに乗車、1時間遅れの22:30に発車した。
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