監督 : アラン・パーカー
怖いものみたさが、怖いもの慣れしてしまった状況のおかげで、ホラー映画は再び心理的な恐怖の追求を始めた。その代表作になりそうな作品。
1955年、ブルックリンに事務所を構える私立探偵ハリー・エンゼルは、謎めいた紳士ルイ・サイファーから人探しを依頼される。
いかにもハードボイルド小説に登場しそうな殺風景なオフィスで、依頼人からの電話を受ける私立探偵、演じるのはミッキー・ローク。メモを探して机の引き出しを開けると、さりげなくコルト45オートM1911A1が入っている。
依頼人を演じるのは、滝落ち名人「ミッション」のロバート・デ・ニーロ。彼が登場すると、いきなり謎めいて、誰かが死にそうな雰囲気が出てくる。
たびたび挿入される、エレベーターの下降シーンは、観客の恐怖を心の奥底に沈めて浸透させてくれる。
ラスト10分、ハードボイルドファンは、ホラーファンに変身しないと、ラストの恐怖を感じ取るのに取り残される危険がある。
今日のエンターテインメントの世界を創造しているフィルムメーカーたちのデビュー作が、ホラーというのも少なくない。
逆に、まだ無名の監督や俳優によって作られるホラーが多い中、本作のように監督をはじめ、主演・助演ともに一流どころで固まっているのは、他に「シャイニング」 (1980) くらい。