県農政部主催による講習会が「ふれあい福祉センター」 和室 で開かれました。
日本料理「ゆ庵」のオーナー湯本忠仁さん (長野県調理師会会長) による講演は、聴きごたえがありました。
湯本さんは「素材と取り組み、調理方法を変えることで、提供数を増やすことができる」とアドバイス。
「① 焼く、② 煮る、③ 揚げる、④ 蒸す、⑤ 炒める、⑥ 漬ける、⑦ 和える」という、バラエティに富む調理法を活用することで、食材を活かす新たな料理方法を見出すことができるといいます。
長芋を例にとれば…
② 煮る (長芋のミルクゼリー)
長芋250gをレンジで5分、柔らかくなったら裏ごし → ゼラチン15gを水大さじ1でふやかし、火にかけた牛乳500ccに、砂糖20gとともに溶かし入れる → 長芋を入れて一煮立ちさせる → 水で濡らした器に盛り、冷蔵庫で30~60分冷やす → ジャム・オレンジ・ミントで飾る。
③ 揚げる
長芋を拍子切りにして、塩を少々振り、青シソで巻いて楊枝で留め、天ぷら粉で揚げる。
④ 蒸す (長芋のきんとん)
長芋500gの皮をむいて切り、蒸してつぶす → 砂糖20gを加え、弱火で煮詰めて、塩少々振り、甘納豆を加える。
⑤ 炒める
長芋500g、ニンニクの芽、ニンジンをカットして炒める → あらかじめ炒めておいた卵3個を戻し、醤油で味付けする
⑥ 漬ける
長芋500gを1cmの拍子切りにして、酢大さじ3に漬ける → 味噌大さじ4・砂糖大さじ3・みりん大さじ2を弱火で練ってから、酢を入れる → 長芋に酢味噌をかけ、上に練りワサビを添える。
⑦ 和える
長芋にネギ、鰹節を天盛りする。
松代一本ねぎ
素焼きにするだけで主役級の料理に。すき焼きとの相性抜群。
曲がったものほど甘味が増している。
油味噌やおでんにと、用途は豊富です。
素揚げして、水 : みりん : しょう油 = 1 : 1 :1 のタレに漬け込むのもよし。
保存は、すだれに新聞紙とともに巻いて立てておきます。寒くなったら下に新聞紙を敷いて保温。
ねずみ大根
天ぷらにするとイモのような食感。寒さから身を守るため、デンプン質を蓄えている。
おしぼりうどんのタレにするには、すりおろして布巾で汁椀に絞ります。10分ほどで辛味が薄くなるので、直前に手早くおろす。
食は最終的に健康へと行きつく。大根おろしに塩を振ってカボスなどの柑橘類を絞るだけで、胃もたれしない一品になる。
「鬼無里おでやれプロジェクト」
鬼無里は、新潟に境を接する日本海型気候の豪雪地帯。
冷蔵庫のない時代、人々は知恵を働かせ、食べ物を保存する方法を編み出しました。
それが「乾燥」と「凍み」を利用した乾燥野菜。
夏はじりじりと照りつける太陽の熱で、冬は極寒の冷えで野菜の水分を凍らせて脱水します。
乾燥野菜は保存性が高まるだけでなく、ビタミンCなど水溶性のものは別として、栄養素が凝縮されています。
水分が少ないので味の染み込みも良く、凍らせて作った場合は、氷の結晶が溶けた部分が空洞にり、独特の食味が生まれます。
こうした乾燥野菜は、不足気味な早春の食卓を賑やかにしました。
特にたっぷりの水で戻す「寒干し大根の煮物」は、豊富な水の願掛けとして、田植えの際には欠かせないものでした。
乾燥野菜の作り方 かぼちゃ
- へたを取り、1/4 に切る。
- 綿と種を取り除き、皮を剥く。
- 1/4片を幅5ミリほどに、全体の厚さを均一に切る。
- 波状のトタンの上に重ならないように並べて、屋外で2H~半日干す。(少し白っぽくなる程度)
- 蒸し器に、すき間ができるよう山に盛り、3分ほど、楊枝が刺さるくらいに蒸す。蒸し過ぎるとボロボロになってしまうので注意。
- トタンの上にもう一度並べて、数日間干してしっかりと乾燥させる。
ポイントは、波状のトタンを使うこと。熱の反射が多くなることと風が通り抜けることで、上手く乾燥します。
夕方にトタンごと屋内へ取り込み、翌朝にカボチャをひっくり返して再び屋外に出します。カボチャの向きを同じ方向に並べるのがコツ。
干しカボチャのえごま和え
- 干しカボチャをぬるま湯に2~3時間ほど浸けて戻す。よく戻らないときは少し煮る。
- えごまはフライパンで煎り、皮を吹いて飛ばし、すり鉢ですってから、砂糖、塩、みりんで味付けする。
- 戻したカボチャとえごまを和える。
ごま和え、マヨネーズ和えにしてもおいしく頂けます。
乾燥野菜の作り方 ナス
- 長ナスのへたを取り、皮をむいて、5mm幅に切り揃える。
- 水に3~5分ほど晒し、アクを抜く。水に浸けすぎると、柔らかくなり過ぎるので注意。
ざるにあげて水を切る。 - 波状のトタンの上に重ならないように並べて、屋外で2~3日干す。
カボチャと同じく、夕方にトタンごと屋内へ取り込み、翌朝にナスをひっくり返して再び屋外に出します。
干しナスの炒め物
- 干しナスをぬるま湯に浸けて、柔らかくするため時々軽くもむ。
- 柔らかくなったら軽く絞る。強く絞ると硬くなってしまうので注意。
- フライパンに多めに油をひいて炒める。
- だし、砂糖、みりん、醬油で味付け。
ナスの香りとうま味が凝縮された干しナス、歯応えも独特です。
乾燥野菜の作り方 寒干し大根
- 全体をきれいに皮をむく。
- 12月中旬頃、最低1週間、雪の上に直に置いて干す。雪の上でさらすことで白くなり、旨みが増す。
- 先の太い方が上になるよう、上部に穴をあけて、2本をセットにして紐を通す。
- 雨の当たらない軒下などに物干し竿を渡し、紐を股にかけて吊るし、1年で一番寒い大寒を挟んで1ヶ月間干す。アクが垂れるので、コンクリートの上でなく、土の上に干す。
寒干し大根の煮物
- 寒干し大根を1.5cmの輪切りにして、洗う。
- たっぷりの温湯 につけて戻す。(戻し汁は煮る時に使うので取っておく) 戻した干し大根は絞りません。絞るとふっくらしません。
- かんぴょうを洗い、水または湯に30分ほど漬けて戻す。戻したら結んでおく。戻し過ぎると柔らかくなり過ぎるので注意。
- 干しインゲンを水または湯に3分つけて戻す。
- 人参、ジャガイモ、ニシンを食べやすい大きさに刻む。
- 鍋に油をひき、材料を炒める。
- だし、みりん、砂糖、醬油と戻し汁を入れて煮る。
煮る前に野菜を炒める理由
油には、食材の表面に膜を作る働きがあります。
肉や魚などのタンパク質と同様、野菜も事前に油で炒めておくと、皮膜によって旨味やビタミンなどの栄養素が閉じ込められることになります。
さらに膜により野菜の表面が堅くなるので、煮崩れしにくくなります。
さらに、油自体が持っているコクや風味が野菜に移ることで、淡白な味の野菜にも旨味と香ばしさが加わります。
たとえば、強い苦みで知られるケ―ルも、油で炒めると苦みが少なくなり、甘味のある美味しい野菜炒めに変身し、食べやすくなります。
なお、玉ねぎを炒めると甘くなるのは、油の働きによるものではなく、辛味成分の硫黄化合物が、熱により揮発・分解されるためです。
乾燥野菜の作り方 バラエティー
目的にあった大きさに切ってから干す。
乾燥野菜は水で戻してそのまま調理するので、「皮をむく」「スジを取る」などの下処理を施す。
乾燥させた野菜は小分けにして密封した袋あるいは容器につめ、陽の当らない乾燥した場所で保管し、最長1年をめどに使いきる。いつ乾燥させたものかを記録しておくこと。
- 干葉 : 野沢菜を束にして、2ヶ月ほど軒先で干す。
- いんげん : スジを取り、1分程度さっと湯がき、水を切って3日ほど干す。
- ピーマン : ワタを取り、1/4 に切って干す。
- 夕顔 : 長さ20cm、厚さ5mm程度に切り揃え、3~4日ほど干す。
- ごぼう : そぎ切りにして、水に晒してアクを抜いてから干す。
- ゴーヤ : 輪切りにして干す。
- ニンジン : 5mm厚さにカットして、煮物用に型で押し切りし、3日ほど干す。
- エリンギなどのキノコ : 軸を切り落とし、傘の部分を干す。
- ミニトマト : 半分に切り、最初は切り口を上向きにして干し、水分が抜けてきたら両面を干す。
- りんご : 皮をむいて5mm厚に切り、塩水に晒してから干す。商品は皮を付けたまま機械で干している。
干葉のおこがけ (そば)
- 干葉をハサミか包丁で2cmに切る。
- 水で洗う。
- ぬるま湯に浸けておく。
- 鍋で茹でてよく戻す。
- ゆで汁を捨てる。
- アクを抜くため水に浸け一晩おく。アクが気になるときは途中で水を替える。
- 戻した干葉を鍋で煮る。
- 蕎麦を茹でて椀に盛る。
- 干葉が煮えたら味噌を加え、濃い目に味を付ける。
- 汁で2回ほど椀の中の蕎麦を温め、最後に干葉と汁を盛り付ける。