階段の設計を終え、図面をじっと見ているうち、「階段も自分で作ってみようか」という衝動を抑えきれなくなっていた私は、ほんとに浅はかでした。
迷った末、大工さんに発注したのですが、その仕事ぶりを見るにつけ、とても素人が手に負えるものではありませんでした。
階段づくりのポイントは…
…壁に取り付けた「側桁 (がわげた)」に、ピッタリと水平に「段板 (足がかかる面)」をはめ込むことができるかどうか。
施工現場をウロチョロしていた私は、見慣れないプラスチック製の「クサビ」を発見、「何に使うのですか?」と大工さんに訊ねました。
「側桁と段板のすき間に入れるんだよ」と大工さん。
「なるほど、人が階段を上り下りする衝撃を和らげるのですね」と、したり顔で問い返す私に、「側桁の切り欠きを、段板の厚さピッタリに作ると、入らないんだよ」との答え。
そりゃそうだ。左右二枚の側桁を寸分の狂いなく水平に設置するなど不可能なことだし、段板にも反りがあるかもしれない。
そういった「誤差を吸収するあそび」が必要。
段板をはめ終わったら、プラスチック製のクサビを打ち込んで、「あそび」をなくします (クサビ締め) 
無垢のフローリングを貼るときも、すき間を作っておかないと、高温時に木が伸長して、フローリングが浮き上がってしまうといいます。
すき間は、上から巾木を貼って隠してしまう。
「ゆるく作って、すき間を埋める」
「ゆるく作って、すき間を隠す」
大工仕事に欠かせないテクニックのようです。
階段づくりの実際
まず踊り場から施工。
踊り場を支えるため、柱 (他の柱と同じ四寸角) を立てる。

プレカット時につけられた「梁の切り欠き」に合わせて、柱のトップに突起を成形 (「目違い」という仕口) して、 梁の切り欠きに差し込む。
同じように土台を切り欠き、柱の根元を「目違い」加工する。
柱は吸い込まれるように、梁と土台に固定されていく。
階段の壁となる石膏ボードを支えるための、「間柱」も立てる。
間柱の中心点は、「振り下げ」を使って床に墨出しする (写真左)
根太の設置完了
側桁を仮置きして、納まりを確認してから床板を貼り始める。
各根太に木工用ボンド (= 白ボンド) を塗り、床材をクランプで固定して圧着する。
踊り場から2階までが完成。
階段を裏側から眺めると、クサビや受板たちが、階段に果たす重要な機能を、無言のうちに物語っています。
もし階段がミシミシと音をたてていたら、クサビが緩んでいる証拠。クサビを調節すれば、軋み音は解消する。
1階から踊り場までを施工。
最下段だけは、先に蹴込板をはめこむ。
暖地で生育するため、パイン材らしからぬ穏やかな木目が特徴のメルクシパインは、素材感も控えめで上品。







