アンタッチャブル

監督 : ブライアン・デ・パルマ

出演 : ケビン・コスナー、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリー

音楽 : エンニオ・モリコーネ

 

禁酒法時代のシカゴを舞台に、アル・カポネを逮捕しようとする、財務省捜査官たちのチーム「アンタッチャブル」の戦いの日々を描いた実録映画。

 

この映画、登場人物の誰がどこでいつぶっ殺されるかもしれない緊張感は、恐るべきモンがある。

登場人物の命を自分の命のように、映画が終わるまでずーっと心配していなければならない。

 

一発の銃弾が観客に与える恐怖、いつ撃たれるかわからない恐怖、そしてそれらの恐怖を一発の銃弾で撃ち抜き、観客に安心を与える。これぞアクション映画の真髄。

 

「戦艦ポチョムキン」のオデッサ階段のシーンを引用した、シカゴ・ユニオン駅でのカポネ一派との銃撃戦は、今年度最高の緊張感がある。

ガンマンは「シカゴ・タイプライター」と呼ばれたトンプソン・マシンガンを発砲。対するネスは、ポンプアクションのショットガンで応射。弾が尽きると、コルト45オートに持ち替え、敵を倒す。

ネスは敵を殺すのが先か、赤ん坊を助けるのが先か、激しいジレンマに襲われる。それが人間性というもの。殺人機械として描かなかったところが、観客を惹きつける。

 

パルマらしいのはラスト、ネスの正義の味方らしくない行動。映画の全体のトーンからも異質である。でもパルマの映画はいつだって、精神的に常軌を逸してしまった殺人者の物語なのだ。ここのショットは、ヒッチコック得意の合成シーン。

 

 

監督のブライアン・デ・パルマは、俳優を発掘する眼力でも突出している。

「キャリー」のシシー・スペイセクとウィリアム・カット。キャリーをいじめる悪ガキは、ジョン・トラボルタ。

「ファントム・オブ・パラダイス」では、「サスペリア」に主演したジェシカ・ハーパーを起用。

「アンタッチャブル」では、「シルバラード」のケビン・コスナーを抜擢。この作品での好演により、コスナーはハリウッド・スターの仲間入りを果たす。

エリオット・ネスは当時、29歳だったので、TV版「アンタッチャブル」でネスを演じたロバート・スタックでは、貫禄がありすぎた。

また、アンディ・ガルシアも、大階段でのアクションで注目を集め、そのキャリアスタートとなった。

 

カポネが君臨していた1930年に、彼をモデルにして作った勇気ある映画が、巨匠ハワード・ホークスの「暗黒街の顔役」であり、そのリメイクが、パルマによる「スカーフェイス」。しかし信じられないほど下品な作品に仕上がり、さんざん叩かれてしまったため、「アンタッチャブル」では往年のハリウッド映画の風格を持って、カポネに再挑戦したのだろう。

 

ちなみに、カポネは1931年から1939年まで、脱税罪で服役、1947年に惨めな最期を遂げた。

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