目にも鮮やかな深紅色をした煮込みスープ「ボルシチ」は、世界三大スープの一つといわれ、ウクライナやロシア、東欧諸国の伝統的な料理です。
1930年代初めには、ジャガイモ、トマト、ピーマンも入れるようになりました。
具となる肉をたっぷりの水で煮て、そこに炒めた具をあわせて煮ていくボルシチは、だしを別にとるのではなく、具でブイヨンをとるので合理的。
現地では大鍋で一度にたくさん作るので、鶏を一羽まるごと入れたり、魚も丸ごと煮込むので、おいしい出汁がとれます。
ロシア料理に欠かせない「サワークリーム」
生クリームを発酵させたもので、ロシア語でスメターナと呼ばれ、スープの仕上げに加えると、乳製品特融のコクと酸味が加わります。
スープ以外にも、煮込みや炒め物、ブリヌイ (クレープ) やペリメーニ (水餃子) につけるなど、さまざまに利用されます。
プレーンヨーグルト1カップを泡立て器でよく混ぜ、乳脂肪40%以上の生クリーム1カップとよく混ぜ合わせると、スメターナに近い味が手作りできます。
多用される4種ハーブ
ロシア料理の味付けはとてもシンプルで、塩コショウが基本です。
その代わりによく用いられるのがハーブです。
さわやかな香りが魚料理やサワークリームと相性のよい「ディル」
一般的なパセリに比べて苦味が少ないので、生のまま仕上げに使える「イタリアンパセリ」
中央アジアやコーカサス地方でもよく使われる「コリアンダー」
味のアクセントに用いる「万能ねぎ」
ウクライナ名物の「サロ」
スライスして黒パンにのせて食べたりもする、一種のハム。
4人前のボルシチなら、大さじ2杯程度を粗みじんにして、バターとともに玉ねぎを炒める際に使うと味に深みが出ます。
サロは、豚バラブロック 500g に塩大1、砂糖 大1/2、コショウ 小1/4を混ぜたものをすり込み、ポリ袋に入れて2~3日おいて作ります。1週間程度の保存可能。
実際にボルシチを作ってみて感じたコツは、「いかに牛肉と野菜の旨味を、スープに移すことができるか」にかかっていると思います。そのための心得が、下記のとおり、ネットにうまくまとめられていました。
1. 多ければ多いほど良い
なによりも重要なことは、ボルシチは少量を作ってはいけないということだ。最低でも3リットルの鍋を用意しなくてはならない。それより多すぎるからと言って心配することはない。あなたがボルシチを作っていると知れば、友人たちが訪ねてくるからだ。もしそうでなかったとしても、ボルシチは2日目の方がおいしくなり、古くはならないものなのでずっと食べることができる。
2. 肉と骨を大量に入れる
最初にするのが肉のブイヨン作り。使うのは牛のリブ肉、シャンク肉またはオックステールが良い。なぜならブイヨン作をとても濃厚にしてくれるからだ。骨髄が手に入ったら、迷わずに投入する。著名な作家、ミハイル・ブルガーコフは、自身の小説、「巨匠とマルガリータ」の中で、ボルシチに骨髄を入れるのは最高だと語っている。豚のリブや関節の燻製を入れると、ブイヨン作がスモーキーかつ甘くなる。そして、肉を入れることを忘れずに!ボルシチには肉がたっぷり入っていなくてはならない。
3.ビーツに気をつける
スープが上手く準備できたら、次は野菜。このレシピの独特なところは、ビーツの調理法にある。スープに投入する前の調理のやり方はいろいろある。蒸す、茹でる、もしくは焼くなど。しかし、焼くのがベストな方法だと分かった。というのも、焼くことによって、自然の甘味が中に凝縮され、且つ鮮やかなビーツの色はそのまま残るからである。またひと匙の酢を加えることでもこの色を美しくすることができる。
ビーツは調理した後に、ピーマンと混ぜ合わせ、そこにトマトをトマトペーストを加える。
タマネギ、ニンジン、ニンニクは別に調理するのは決まりだ。
ジャガイモに色が移るのを避けるには、出来上がりの5分間にビーツを入れること。これでまだ気に入らなければ、下記のやり方に従うこと。
4.辛いもの好きな人には
野菜をすべて投入したら、味を整えるのだが、これは、ボルシチ作りの最も重要なパートの一つである。黒コショウやパセリ、ディル、ローリエなどのハーブに加え、ニンニクを入れることが味を良くするのにとても大事だ。もう一つ、野菜をラードで調理することもスープに特別な味を加える。
5.サワークリームはとにかく多めに
最後の仕上げは、スプーン一杯の濃厚なサワークリームだ。これを足すことで完全に質を高めることになる。このようなボルシチをご馳走した後は、少し休憩することになるだろう。ボルシチの神々しい香りがするところでは、他の事を考える気にもならないだろう。
- 骨つき牛肉 (または脛肉) 500g
- 牛骨 400g
- 豚スネ肉の燻製 1塊
- ビーツ(中サイズ) 3~4個
- タマネギ 2個
- ニンジン 1本
- ニンニク 3~4片
- 赤ピーマン 1個
- トマト 3~4個
- トマトペースト 大さじ2
- ジャガイモ 2~3個
- キャベツ 半分
- 酢 大さじ1
- ブーケガルニ……1束(ローリエ1枚でもOK)
- 砂糖、塩、コショウ
- ラード (バター)
- ディル、パセリ
- サワークリーム
1. ブイヨンを作る。
骨つき牛肉に塩をまぶす。
厚手の大きい鍋に肉を入れ、3~4リットルの水を注ぎ、沸騰させて、アクを取り除く。
アクが出なくなったら、蓋をして、ブーケガルニ(またはローリエ)を入れてさらに1時間、蓋をして煮ます。
水分量はお肉が水にかぶるくらいがベスト。足りなくなったら水を足しましょう。。
肉が骨から外れたら、スープは出来上がり。骨を取り出す。
肉は小さく切って、スープに戻す。骨は捨てる
2.野菜の準備
ビーツは洗って、植物油を塗り、1つずつアルミホイルで包む。オーブンを200℃に予熱し、ビーツを1時間から1時間半、中が柔らかくなるまで焼く。焼きあがったら、皮をむいて、細くおろす。
赤ピーマンとトマトは角切りにし、ラード (あるいはバター) をしいた鍋で炒める。砂糖大さじ1と酢大さじ1を加える。3分炒めたら、トマトペーストを加えて、さらに3分炒める。
4. ニンジンは皮をむいて、おろす。タマネギは角切りにし、ニンニクは潰す。別の鍋にラードをしき、タマネギを入れて、柔らかくなり、透明になるまで炒める。タマネギに、おろしたニンジンを加え、柔らかくなったらニンニクを加え、もう1分炒める。
3.ブイヨンと野菜をあわせて煮込む
5. 肉の入ったブイヨンにまずタマネギとニンジンを加える。ゆっくりと沸騰させ、3分煮る。ピーマン、トマトを加え、またゆっくり沸騰させる。
6. スープを煮ている間に、ジャガイモの皮をむき、小さめの角切りにする。スープに入れ、柔らかくなるまで8〜10分煮る。
ビーツを早く鍋に入れ過ぎると、仕上がりの色合いが濁ってしまいます。美しい深紅色を出すためにも、ビーツは最後に入れるようにしましょう。
7. キャベツは千切りにして、ジャガイモが煮えてからスープに加える。キャベツは3分ほど煮る。
8. すべての野菜を加えたら、塩、黒コショウ、ハーブで味を整え、火を止める。蓋をして、最低1時間置く。
ビーツの下ごしらえ・ビーツのサラダレシピ
-
【ロースト】
よく洗ったビーツは濡れたまま皮を剥かずにキッチンペーパーで包み 更にアルミホイルで包みオーブンで焼きます。
-
オーブントースター または オーブンで1時間~1時間半ビーツがやわらかくなるまで焼きます。適度な湿気で蒸し焼きされます。
-
焼き加減は竹串で確認!ローストしたビーツは色鮮やかで甘みが増し濃厚な味わいになります。皮は手で擦るだけで簡単に剥けます。
-
【ボイル】
鍋に湯を沸かしたら塩と酢 (各小さじ1~2) を加えビーツは皮を剥かずに茹でます。鍋は大きくない方が良いです。蓋は閉めません。
-
ゆで時間はお好みです。サラダやピクルスなど食感を楽しむ場合は約15分、やわらかくするには40~60分。竹串で確認!
-
ボイルしたビーツは特有の匂いも和らぎ みずみずしくさっぱりした味わいです。蓋を閉めずに茹でるのがコツです。
下処理したビーツは料理に合わせてカットして使用します。
-
ビーツ特有の真っ赤な色が手やまな板に着くのでビックリしますが、水溶性の色素なので洗い流せば簡単に落ちます
【ボイル(電子レンジ)】
耐熱ボウルに水を1㎝~2cm加え、ラップをふわっとかけて、700Wで8分加熱。竹串をぐぐぐっと刺して真ん中まで入る程度の仕上がりです。
ビーツとシェーブル(山羊のチーズ)の前菜
チンしたビーツを冷やして切って、チーズをはさんだだけ。黒こしょうをゴリっと挽いて。
ビーツとポテトとチーズのサラダ
- ビーツとジャガイモを1cm角のサイコロ切りにして、火が通るまで茹でたら湯を捨て、鍋の中で転がして水分をとばし、粉吹きにする。
- 熱いうちに、砂糖 大 1/2、オリーブオイル 大2~3、酢 大1、塩適量、黒コショウ適量 を加えて混ぜ、粗熱をとる。
- 1cm角にカットしておいたフェタチーズ 200g を加え、塩コショウで味を調える。
ビーツとくるみとゴートチーズのサラダ
- ビーツをローストしたら、櫛形に8等分する。
- ローストしたビーツと入れ替わりに、みじん切りにしたクルミひとつかみをアルミホイルに乗せ、5分ほどローストする。焦がさないように注意。
- ビーツとクルミ、ゴートチーズ 30g、レタス・ルッコラ・ベビーほうれん草などの葉物をボウルで和え、軽く塩コショウ。
- メープルシロップ 大3、オリーブオイル 大2、シェリービネガーまたはワインビネガー 大2 をボトルに入れてよく振って混ぜ合わせたドレッシングを、食べる直前にかける。
極細ビーツのハーブサラダ
- 皮をむいたビーツ100g をスライサーで輪切りにしたら、細い千切りにする。
- 紫タマネギをスライサーで薄切りにする。
- 以上を和えて皿に盛りハーブドレッシングを回しかける。
- 削り節を2~3g 乗せて、彩りにイタリアンパセリを飾る。
冷たいボルシチ
「スヴェコーリニク」「ハラドニーク」とも呼ばれる、ビーツの冷たいスープ。
リトアニアの郷土料理「シャルティ・バルシチュイ」がルーツで、夏の飲むサラダとして人気。
ビーツの赤に白いサワークリームが混ざり、鮮やかなピンク色に。
ディルをまぶしたポテトを添えていただきます。
【作り方(4人分)】
- ビーツ 小1個を皮付きのまま水から茹で、竹串が通るくらいまで1時間ほど茹でる。
- 酢 大4、砂糖 大2、水 大2、塩 大1/2 を混ぜ合わせてマリネ液を作る。
- 粗熱がとれたビーツを5cm角に切り、マリネ液に入れて和える。
- サワークリーム 2カップ、水 2カップ を加えて混ぜる。
- 砂糖、酢、塩コショウで味を調え、冷蔵庫で冷やす。
- 器に盛り、みじん切りにしたゆで卵、きゅうり、玉ねぎ、ハーブを飾る。