2011年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正で、介護職が医療行為 (いりょうこうい ) をすることが、できるようになりました。
できるようになった医療行為は、喀痰吸引 (かくたんきゅういん) と経管栄養 (けいかんえいよう) です。
介護職が医療行為を行うには、医師の指示と承認が必要です。
“喀痰(かくたん)” とは、唾液(だえき = つば)、鼻汁(はなみず)、老廃物 (ろうはいぶつ) やホコリを含んだ粘液 (ねんえき) が混じった、いわゆる「たん」のことです。
たんを飲み込んだり、吐き出したりできなくなると、たんが気管に入って肺炎などを起こすことがあります。そこで、吸引器 (きゅういんき) を使ってたんを吸い取ることを、喀痰吸引といいます。
喀痰吸引について、試験に出そうなことは…
・吸引は、できるだけ短時間で行う。(10~15秒)
・吸引チューブの外側は、洗浄綿等で手前から先端に向かって1回拭く。
・吸引瓶の排液 (はいえき ) は、70~80%たまる前に捨てる。
・たんを出しやすくするため、肺・気道を口に向けて傾ける、水分を補給する、室内の湿度を保つ(60%くらい)。
・たんの粘性(ねんせい) が低く、量が増えたときは、気道に炎症を生じている可能性が高い。
・たんの粘性(ねんせい) が高く、黄色・緑色っぽくなり、腐敗臭(ふはいしゅう)または甘酸っぱい(あまずっぱい) においがするときは、感染症の疑いがある。
介護職ができる3種類の経管栄養
口以外から栄養を取ることを「人工栄養法」といい、「経管栄養(けいかんえいよう)」と「経静脈栄養 (けいじょうみゃくえいよう)」の2種類があります。
「経(けい)」という漢字は、「~を通って」という意味です。
「経管栄養(けいかんえいよう)とは、管 (= チューブやカテーテル)を使って、胃や腸に栄養を入れることで、「胃ろう」「腸ろう」「経鼻経管栄養(けいびけいかんえいよう)」の3種類があります。
経静脈栄養 (けいじょうみゃくえいよう) とは、静脈から栄養を入れる方法で、点滴で行う「末梢(まっしょう)静脈栄養」と、心臓に近い太い静脈を使う「中心静脈栄養」の2種類があります。
経静脈栄養 は、胃腸などが弱っていても栄養をとることができますが、感染症や合併症などを起こしやすいデメリットがあります。
経管栄養については、医療職がチューブを挿入した後、介護職が栄養剤の注入をできるようになりました。 試験に出そうなポイントは…
・胃ろうからの栄養投与は、胃食道逆流 (いしょくどうぎゃくりゅう) を起こして、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を生じる危険性がある。腸ろうは、栄養剤が逆流する危険性は低いが、栄養剤を腸に直接注入するため下痢を起こしやすく、栄養剤の注入をゆっくりと行うため、時間がかかる。
・経管栄養を注入するときは、逆流を防ぐため、座位(ざい) あるいは上半身を30~45度起こした状態で実施する。
・経管栄養剤は、医師の処方が必要な「医薬品タイプ」と、薬局で誰でも購入ができる「食品タイプ」がある。
・栄養剤は、人肌程度の温度(37℃) に温める。
・開封後した栄養剤は、冷蔵庫に保管して24時間以内に使用する。
・胃ろうチューブの交換は、バルーン型なら1~2か月に1度、バンパー型なら4~6か月に1度、医師が行う。
・胃ろう部からイルリガートルの液面まで、50cm程度上から滴下(てきか) できるように調整する。
・準備として、点滴筒の1/2ほどを栄養剤で満たすように点滴筒を押す。その後、クレンメを少し開きながら栄養点滴チューブの先端まで栄養剤を行きわたらせてから、クレンメを閉じる。
・胃ろう、腸ろうの、ろう孔周辺は注入後毎回、ぬるま湯で濡らした柔らかい布で拭き取る。
・胃ろう、腸ろうの栄養チューブは、癒着(ゆちゅく) や圧迫(あっぱく) を防ぐため、医師、看護職、家族が1日に2~3回、回転させる。
・胃ろう(腸ろう)の挿入部の消毒は、造設後 (ぞうせつご = 作ってから) 2週間経過した時点で、挿入部に感染の兆候(ちょうこう = サイン) がなければ、 中止してよい。