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介護士試験32 毎年出題されるICF(国際生活機能分類)

ICF(国際生活機能分類 / International Classification of Functioning, Disability and Health)は、2001年に世界保健機関(WHO)によって決められた考え方です。

人が生きるという「生活機能(せいかつ きのう)」には、「心身機能・身体構造(しんしんきのう・しんたいこうぞう)」「活動」「参加」という3つのファクターがあります。

さらに「生活機能」に影響をあたえる「背景因子 (はいけい いんし)」があり、「環境因子 (かんきょういんし)」「個人因子 ( こじんいんし)」という2つのファクターがあります。

そして、健康状態は、これら5つのファクターが、おたがいに影響(えいきょう)をあたえあって決まるという考え方です。(= 一方通行ではなく、双方向・相互作用 / そうほうこう・ そうごさよう の関係)

たとえば、脳卒中や統合失調症 (とうごうしっちょうしょう) ・ダウン症の人が、社会に出て仕事という「活動」をすると、「心身機能」がよくなってきます。

一つのファクターのレベルがアップすれば、他のファクターもアップして、全体の健康状態がよくなるという考え方です。

 

 

生活機能のファクターは3つ

 

(1) 心身機能・身体構造 (しんしんきのう・しんたいこうぞう)

病気や障害など、からだと心の状態です。
疾病 (しっぺい = 病気 ) や外傷 (がいしょう = けが ) だけでなく、加齢 (かれい = 年をとること)・精神的なストレス・妊娠も含みます

例えば、交通事故で車椅子を使うようになったDさんの「心身機能・身体構造」は、「対麻痺 (ついまひ) による下肢運動麻痺 (かし うんどう まひ ) だが、仕事に復帰 (ふっき) したいという意欲が高い」などと、あらわします。

 

(2) 活  動

歩くことや食事を作るなど、日常生活に必要な動作から、家事や仕事、余暇活動 (よかかつどう = レジャー) や趣味 (しゅみ) まで、本人が生活することのすべてです。

活動ができないことを「活動制限 (かつどうせいげん) 」といいます。

例えば、Dさんが趣味で、車椅子バスケットボールを楽しむようになったことは、「活動」です。

逆に、ビルを作る会社で働いていたDさんが、仕事をする能力をなくしたのは、「活動制限」です。

 

(3) 参  加

コミュニティ活動やボランティア、公民館 (こうみんかん) の会議やスポーツ大会に参加するなど、家庭や社会の中で他人と、かかわりを持ち、行動することです。

食事を作る能力は「活動」ですが、家族の食事を用意することは、家庭の中で主婦 (しゅふ) の役割 (やくわり) をしているので、「参加」です。

参加ができないことを「参加制約 (さんかせいやく) 」といいます。

例えば、Dさんが友だちとチームを作って、車椅子バスケットボールの大会に出ることは、「参加」です。

しかし、車いすバスケットボールの障害レベルの基準 (きじゅん) を、チームがクリアすることができず、大会に出ることができなかった場合は、「参加制約」です。

また、仕事を続ける能力をなくしてしまったために、会社をやめなければならなかったことも、社会とのつながりが切れてしまうため、「参加制約」です。

 

背景因子のファクターは2つ

(1) 環境因子

その人を取り巻く環境すべてです。

住宅のバリアフリーなど、物の状況だけでなく、家族や友人関係など、まわりの人の状況も含みます

 

(2) 個人因子

年齢、性別、民族、学歴、価値観など、その人の人生や考え方です。

 

ICFの介護現場への導入

あらゆる情報を集めて分析 (ぶんせき) することで、利用者の課題 (かだい)・ニーズを明らかにするのが、「アセスメント / assessment」です。

アセスメントにICFを利用するのは、良いことです。

Dさんの例の場合、「車椅子バスケットボールをする友だちが、近所にいる」という「環境因子」や、「事故にあう前、Dさんはスポーツ好きで、うまくなるにはトレーニングしなければならない、と思っている」という「個人因子」が分かれば、「車椅子バスケットボールのプレイを支援する、リハビリプログラムが必要」というニーズが見えてくるでしょう。

全体の情報を集め、生活機能のレベルを上げるためには、チームでのケアが大事になります。

 

ICFができるまで

1980年にWHOは「国際障害分類(こくさい しょうがい ぶんるい / ICIDH)」を発表しました。

ICIDHは障がいを「機能障害 (きのう しょうがい)」「能力障害 (のうりょく しょうがい)」「社会的不利しゃかいてき ふり)」の、3つのレベルで分けています。

これに対して、ICFは「背景因子」の考え方を加えるとともに、障害があっても「こうすれば出来る」という、プラスの視点で総合的 (そうごうてき) に、人生を考えようというものです。

車椅子の方でも、エレベーターや駅員のヘルプがあれば、電車で出かけることができますよね。これは「環境因子」が整備されたために、障害があってもスムーズに動けるようになった一例です。

 

(参考 : ICFについての過去問題)

試験の年 問題 (Dさんの症状は、記載を省略) 正しい答え
第31回 Dさんの現状をアセスメントした内容と,ICFの構成要素の組合せとして,最も適切なものを1つ選びなさい。 レクリエーションで歌の伴奏をすることは,「参加」にあたる。
第30回 ICF の社会モデルに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。 障害は、環境によって作り出されるものである。
第29回 ICFに基いて情報を分類する場合,Eさんの「能力」(できる活動)に該当するものとして,適切なものを1 つ選びなさい。 車いすから便座への移乗
第28回 Dさんに関する情報のうち,ICFの環境因子に該当するものとして,適切なものを1 つ選びなさい。 娘の仕事が忙しくなってきた。
第27回 Dさんに関する次の記述のうち,ICFにおける「心身機能・身体構造」と「活動」の関係を示すものとして,適切なものを1 つ選びなさい。 上肢は自由に動かせる状態であり,車いすで移動できるようになった。
第26回 ICFの「活動と参加」に分類される内容として、正しいものを1つ選びなさい。 毎日の日課として必要な行為をやり遂げること。
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