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クラクフからアウシュビッツを訪問

宿を出てタクシーでワルシャワ中央駅に向かう。運賃は20zt(約600円)。

クラクフ行き6時5分発に列車に乗る。三時間ほどで列車はクラクフ駅に到着した。
駅を東出口から出て、ショッピングセンター「ガレリア・クラコフスカ」に向かう通路にコインロッカーを発見、荷物を預けて身軽になった。

 

 

 

駅前広場には古い建物が立ち並び、トラムがコトコト行き交う街並みには風情が漂う。ウィーンの「リング」と同じく、クラクフの市街地もトラムの線路にぐるりと囲まれている。

観光案内所で今夜の宿を予約してから、駅の東側で客待ちしているタクシー運転手と、アウシュビッツ往復の運賃を交渉する。交渉は350ztにて成立。
タクシー車内では渉外担当の上さんが、「指差し会話集」を駆使しながら、運転手のアダムさんと国際親善に余念がない。そうこうしているうちに、タクシーはアウシュビッツに到着。

入口には入場者たちの行列ができているが、アダムさんは人の列を追い越してぐんぐん進み、管理棟のような建物を通り抜けた所で「さあ、見学してきなさい」と促す。

行列は音声案内のオーディオフォンを借りる人の列であり、見学は無料のようである。

アダムさんがいなかったら、オ-ディオフォンを待つ行列に並んでしまうところだった。

Arbeit macht frei(
働けば自由になる)
と記された強制収容所の門のアーチ

収容所内を見学。絶望的な暮らしの中で、人は何を支えに生きたのだろうか。人間の手によってこのような場所が作られたことが悲しい。
 

自分の写真を撮ってもらうとき、一瞬、どのような姿勢をとるべきか迷いました。ここは、そういう場所なのでしょう。

この旅から十数年後、SNSの普及で自分の意見を発信するのも、他人の意見を閲覧するのも容易になった2021年1月、ピースサインを出してアウシュビッツの記念撮影をする人に対する、こんな投稿がありました。

「写真撮影が許可されている限り、これらの場所で写真を撮ることが奨励されています。それは歴史であり、それが記憶されるべきものということです。

しかし、自撮りやいくつかのポーズをとることは決して適切ではありません。何百万人もの人々がこれらの場所で殺害されました。それらは思い出の墓地のようなものです。これらの場所を歩いていた罪のない人々を軽視してはいけません。

バスの中で自撮りをしてもいいが、この辺りではダメでしょう。この場所は幸せな遠足の場所ではありません。亡くなった人たちに敬意を持って接してほしいと思っています」

収容所へと続く線路

土産店などはなく、通常の観光地とは一線を画している。

上さんが神妙な面持ちでつぶやいた。「ガス室の見学中にオナラをしてしまった」
 
 
重苦しい雰囲気の施設から青空の下に出ると、ほっとした気分になる。

売店でパンを買い、ベンチに腰掛けて昼食とする。隣では篠さんが、おしゃべりしている学生たちに声をかけている。
篠さんは気がつくと、現地の人々とコミュニュケートしている不思議な人だ。

外国人を惹きつけるサムシングエルスがあるのだろうか。ミルキーを取り出し、学生たちに配っている。

国際親善のためにサクラの木やパンダを贈ったという話は聞くが、ママの味・ミルキーを贈った者が、いまだかつて存在したのであろうか。少なくとも私は知らない。

昼食を終え、タクシーに戻る時刻となった。去り行く私たちを眩しそうに見送りながら、学生たちが「チェシチ(バイバイ)」と手を振った。

しかしそれは、怪しいものたちを見るような目つきだったのかもしれない。

タクシーで旧市街地に戻り、夕食を摂るため、宿で紹介された「C.K.Browar」に向かう。

聖アン教会の向かい、交差点の角に位置するこの店は、自家製の醸造ビールがウリだ。
階段を降りて薄暗い店内に入ると、あちこちのテーブルで交わされる談笑が渦となり、波のうねりのように店内を巡っていた。波は壁に跳ね、お互いぶつかり砕けて、高い天井に吸い込まれていく。食事をじっくり楽しみというよりは、ナイトクラブ的な店であった。

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