本日は関係代名詞の「非制限用法」について学びましたが、どういうことか意味がわかりませんでした。
理解できたのは10年後、学習塾で中三の授業の予習をしているときでした。
まずは、関係代名詞についておさらいです。
次の二文を一文にまとめてみましょう。
I have a dog. It’s really old .
二文目の”really old” は 「bare adjective (= 裸の形容詞)」 なので、名詞の直前に置いてその名詞を説明することができます。従って、 dog の前に挿入して I have a really old dog. という一文にまとめることができます。
??? I have a dog which is really old は間違い???
次の二文はどうでしょうか。
I have a dog. It’s always hungry.
二文目の”always hungry” は 副詞を伴った形容詞なので、名詞の直前に置くことはできません。
こういう場合は「関係代名詞」を使うことで、名詞を後ろから説明することができます。
従って、主格の関係代名詞 that を利用して、I have a dog that is always hungry. という一文にまとめることができます。
次の二文はどうでしょうか。
I have a dog. I bought it from a friend.
一文目の dog が、二文目では目的語の it で置き換えられているので、目的格の関係代名詞 that を利用して、I have a dog that I bought from my friend. という一文にまとめることができます。
これら、コンマを使用しない関係代名詞は、先行詞に情報を付け加えることで先行詞を特定する働き( identifying) を持つため、「制限用法」の関係代名詞と呼ばれます。
これに対し、関係代名詞の直前にコンマを使用した場合は「非制限用法」と呼ばれ、おまけの情報を付け加えることを意味し、念のため説明しているといったニュアンスになります。
以下の例文1はコンマなし、例文2はコンマありです。
(例文1) My younger sister who lives in Seoul is really kind. / ソウルに住んでいる私の妹は、本当に親切なのよ。
(例文2) My younger sister, who lives in Seoul, is really kind. / 私の妹、ソウルに住んでいるんだけど、本当に親切なのよ。
コンマなし関係代名詞は、先行詞を特定する機能を持ちます。特定とは、複数ある中の1つを指し示す行為です。
したがって、例文1は「姉妹が複数人いるけれど、そのうちのソウルに住んでいる人」を意味します。
そもそも英語では、名詞の前には、文脈における名詞の役割を示す、限定詞(決定詞)が必ず1つだけつきます。
限定詞とは
- 冠詞 a/an, the, 無冠詞
- 所有格 my, your, his, her, their, one’s など
- 指示代名詞 this, that, these, those
- 不定代名詞 some, any, each など
のことです(便宜上、無冠詞の用法も限定詞に加えています)。
a my friend のように、1つの名詞に、複数の限定詞がつくことはありません。この場合、正しくは a friend of mine となります。
中学英語で「人名・地名などの固有名詞や、所有代名詞がついた名詞は、関係代名詞の先行詞にしない」と習いますが、既に限定されているものを限定用法の関係代名詞で更に限定するのはおかしい、という考えからです。
限定する必要がない唯一の存在は、限定用法の先行詞にはなりえないので、姉妹が1人だけの場合、例文1は誤りです。
一方、コンマあり関係代名詞には「特定」の機能はなく、先行詞におまけの情報を追加する働きをします。
例文2の先行詞は My younger sister と単数形であり、そのMy younger sister はソウルに住んでいることを追加で説明しています。従って、「私」には姉妹が1人だけであることがわかります。
このように、コンマの有無によって文のニュアンスに変化が生じます。
コンマつき関係代名詞は、thatを除くすべての関係代名詞・関係副詞で使用することができます。
コンマ+which : I went to Tokyo, which is the capital of Japan. / 私、東京に行ったんだけど、そこは日本の首都よ。
コンマ+who/whom : Tony was engaged to an architect, whom he met in Paris. / トニーは建築家と婚約していたんだけど、彼は彼女とパリで出会ったの。
コンマ+when : The conference took place in 2000, when I worked in the advertisement agency. (その会議は2000年に行われたんだけど、それは私が広告代理店に勤めていた時だよ。
コンマ+where : I’ve never been to London, where my wife lived. / 私はロンドンに行ったことがないけれど、そこに私の妻は住んでいたんだ。
関係代名詞thatにコンマつきの用法が使われないのは、that には「特定」の意味が強く含まれるため、特定の意味が薄れるコンマつき関係代名詞とはバッティングしてしまうからでしょう。