MI(ミッション・インポッシブル)シリーズの6作目となる「フォールアウト」を観ました。
冒頭シーン。「A storm is coming(嵐が来る)」と暗号を呟く訪問者。
このセリフは「ターミネーター」のエンディング、メキシコの片田舎で給油を終えたサラ・コナーに向かって、ガソリンスタンドの主人が言うセリフと同じ。
「わかってるわ」と答えたサラが、嵐に向かってジープで乗り出す象徴的なショットで、「ターミネーター」は幕を閉じます。
そんな事を思い出し、感慨に浸りながら思わず席を立ちそうになってしまいました。
おっといけない、これでは10秒で映画が終わってしまいます。
本作ではトムクルーズ演じるイーサン・ハントが「I’m a storm(私が嵐だ)」と合言葉を答え、物語が展開します。
この場面はベルリン(だったかな?)という設定ですが、屋内シーンばかりで、「007同様、世界各地のロケが売りのMIシリーズなのに…」とがっかり。
しかしパリ市街のロケでは、凱旋門はじめとする観光名所を縦横無尽に疾走するバイク・チェイスが展開されます。
ただこれも、明らかにCG合成と思えるシーンがあり、むしろ作り物とわかっていながらも、クライマックスのヘリコプター・チェイスの迫力の方に息を飲みました。
近年のMIシリーズは、チームプレイで危機突破という爽快感を魅力の柱に据えていましたが、本作はスパイサスペンスとしての騙し合いやトリックの色合いも強く、ブライアン・デ・パルマが監督した第1作(96)のテイストに戻したようにも思います。
解説を読んでびっくり、監督・脚本のクリストファー・マッカリーは、サスペンス映画の佳作「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家とのこと。
ならば、もっとサスペンス色を強めて、ハラハラさせてくれても良いと思うのですが、「トムちゃんの健全アクションが売りだからなあ」と葛藤でもしてるんでしょうか。
「007」はダニエル・クレイグの起用を機に、スパイアクションの原点へ回帰し、内面の弱みをひた隠すボンドの人間的な面を織り込みながら、シリーズに新たな生命を吹き込みました。
MIは今後どのような方向に向かうのか、先を予測するのもシリーズものの楽しみの一つですね。
最後に、MIシリーズの常套句を原語で表現すると…
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