中学生になって初めて受けた英語の授業を、私は今でも覚えています。
それは一人づつ順番に、知っている英単語を一つづつ挙げていく、というものでした。
順番が後にいくに従って、だんだんと思いつく単語に窮していくクラスメートを尻目に、順番が来た私は意気揚々と、「panther / 豹」という単語を答えました。
先生は「よくそんな単語を知ってるね」というような表情を浮かべ、私は得意満面でした。
実は、小学生の頃の愛読書「キューティーハニー」に、「パンサークロー」という悪の組織が登場していたため、知っていただけのことなのですが。
こんな経験があって、「英語とは英単語を覚えること。日本文の単語を英単語に置き換えれば、英文が完成する」と、英語に対するイメージが私の頭の中に出来上がりました。「英語、恐れるに足らず」と、中学一年生の私は自信満々でした。
そして授業が進むにつれて、私は英語が大嫌いになりました。英文を何とか日本語に訳すことはできても、英語で文章を組み立てることが全くできないのです。「日記を英語で書いてくるように」という宿題のときは、何時間も机に向かっていても、5つくらいの単語から成る文章が3つぐらいできる程度で、本当に苦痛でした。
当時の私には「S + V」という文型への理解はなく、テストでも、丸暗記した一文をそのまま使える問題が出題されるのを、ひたすら待つだけでした。
高校を卒業して英語の授業から解放され、やれやれと思ったのですが、映画を字幕なしで観たい、洋楽の歌詞を理解したい、という願いは強く、「英語を自在に操れたらなあ」という憧れは、ずっと心の奥底に淀んでいました。
そんな私が、30代で海外旅行の魅力に取りつかれました。旅先で自分が伝えたいことをその都度、辞書で調べて言葉にすることで、私は英語を覚えていきました。
そして英語で尋ねると、返ってくる答えの中に、自分では思いつかなかった言い回しが含まれていることに気付きます。手帳にメモし、今度は誰かに対してそれを使ってみる。通じれば確実に一つ、実用的なフレーズを覚えたことになります。
学校の授業では、ややこしい文法でしかなかった「関係代名詞」や「使役動詞」が、私の言いたいことを一発で表現してくれる、とてもありがたい言葉に変わり、スラスラと口から出てくるようになったときは、身震いしたものです。
そんな経験を重ねた現在、手元に残っていた40年以上前の、中学校時代のテストにチャレンジしたところ、ほぼ満点でした。当時は42点なんていう点数の辺りをウロウロしていたのですが。
学校のカリキュラムだけが、英語習得の道ではありませんね。
縁あって、昨年末から学習塾で英語を教えています。自分の思いを英語で伝えることができたときの喜び、自らの英語力が向上していくプロセスの楽しさ、それらを生徒が実感できる授業ができたらいいな、と思っています。
以下、私の中学生時代のテストを振り返り、当時の英語脳の状態を診断しつつ、その処方箋を考えてみます。
「do, dose, be動詞で始まる疑問文は、Yes-No で答える」という簡単な法則を知っているだけでも、随分と楽になったことでしょうに。
形容詞句を文中に入れる問題では、「名詞を修飾する」という形容詞の役割自体が、理解できていないようです。
(3) 英文作成問題は全滅です。
また、「非常に」という意味の”very”は副詞、というのは未だにピンときません。副詞は副詞も修飾するのですね。
goodは形容詞、wellは副詞という使い分けもしっくりきませんし、副詞の配置場所は今も戸惑います。
(3) (8) 代名詞や、その所有格・目的格の使い方に至っては、お手上げ状態です。
国語力はそこそこあったので(6)の文章読解問題と、(2)のアクセント問題で何とか点数を稼いでいますが、(1) のスペリングも心もとないです。
after の反対語を noon と記入しているあたり、何とか空欄を埋めようとあがいているのは、いじましいのですが。
3年生ともなると「過去分詞と関係代名詞」「現在完了形と最上級」を組み合わせた問題も登場して、苦戦を強いられています。
そんな中で、「前置詞の次は名詞だから、動詞は動名詞にする」と書き込んでいるのは意外です。こういった法則をたくさん身につけて、応用することができていたなら、もうちょっと違う結果が出ていたことでしょう。
以下は、テストに再チャレンジしたけれど、間違えてしまった問題です。
fifth とすべきところ、third としてしまいました。Thursday と Tuesday は未だに見間違えてしまいます。
How とすべきところ What に、Which monthsとすべきところやはり What ~ にしてしまいました。
(2) young とすべきところ、out としてしまいました。
5. How tall he is とすべきところ、What~ としてしまいました。”What+(a[an]+)形容詞+名詞+S+V”と”How+形容詞[副詞]+S+V”の使い分けですね。
6. got とすべきところ、arrived としてしまいました。ともに自動詞ですが、arrive に付く前置詞は at,in,on,upon です。
7. on とすべきところ、反射的にtoとしてしまいました。
発音問題1は×とすべきところ○に{kóʊm と θˈɔːt}、2は○とすべきところ×に{kˈʌpl と kˈʌntri}、5は×とすべきところ○に{góʊldn と səm}してしまいました。
2.は How often とすべきところ、How many としてしまいました。
6.は Shall I とすべきところ、May I としてしまいました。
7.は Every student likes とすべきところ、~like としてしまいました。
(2) great とすべきところ、says としてしまいました。
{néɪm sɛz gréɪt brékfəst frénd}
What will he make next Sundayとすべきところ、~on Sundayとしてしまいました。
1. (h)ɪmsélf を選択してしまいました。
2-3 boughtとすべきところ、albumとしてしまいました。
{ˈɔːlmoʊst ˈælbəm bˈɔːt lˈæst sˈæṭɚdèɪ}
5. heart とすべきところ、first としてしまいました。
{fˈɚːst hˈɚːd tʃˈɚːtʃ wˈɚːk hάɚt}
8. I can’t play football,either.とすべきところ、~,neitherとしてしまいました。 “neither” には ”not” の意味が含まれているので文中に “not” は不要です。
I do not like either of them.= I like neither of them.
2. foot とすべきところ、through としてしまいました。
{θruː fˈʊt múːv súːn}
scold {skˈəʊld} 「しかる、小言を言う」という単語は知りませんでした。
1. called とすべきところ、know としてしまいました。
{stóʊn kɔːld noʊ ˈoʊn.li hoʊm}
2. dark とすべきところ、work としてしまいました。
{ˈɚːli dάɚk fˈɚːst lˈɚːn wˈɚːk}
6. country とすべきところ、house としてしまいました。
{sάʊθ kˈʌntri klάʊd hάʊs rάʊnd}
7. “is over” という熟語が思い浮かびませんでした。
af・ter・wards {ˈæftɚwɚdz} 「後になって」という単語は知りませんでした。
(c)に入れる関係代名詞 which を選ぶべきところ、関係副詞 where を選んでしまいました。
関係詞でつながれている一文を二文に分割したとき、先行詞が主格・目的格であればwhich、先行詞が副詞句であればwhereを使います。先行詞が場所に関連する単語だから単純に whereとは限りません。