リエゾン（Liaison）とは元々フランス語において、通常は発音しない語尾の子音が、次の語頭の母音とつながって発音されることをいいます。英語でも2語以上が連なるとき、音声が変化します。

したがって、一語づつ英単語の発音を覚えただけでは、実際の音との間にギャップが生まれ、英語を聞き取ることはできません。

このギャップを埋めてリスニング力をアップするには、自分でもリエゾンさせて発音できるようになることが近道です。発音できるようになって初めて、脳はその音を「音」として認識してくれます。

繰り返し英語を聞いても、聞き取れるようにはなりません。発音を練習することです。

英語のリエゾンの主なものは、次の四つがあります。

1. 連　結　（Linking）

子音で終わる単語の後に、母音で始まる単語が続くと、子音と母音が連結して、音が変化します。

in front of ～ の t と o が連結して /tə/ のような音に変化。

lot of /lάt(ə)v/ で「ラダ」「ラダブ」になります。

Not at all ［nátətɔ́ːl］ 「ナダドール」

Take it easy  [teik it i:zi] 「テキリージー」

 

2. 脱　落　(Reduction)

・t が脱落する例
can’t の最後の t や imortant の真ん中の t は弱く発音され、しばしば脱落します。
that や sort なども t が脱落しやすい語で、「ザッ」「ソー」のようにしか聞こえない場合がままあります。

・d が脱落する例
good job はしばしば「グッジョブ」のように聞こえます。他にも、
and も「アン」くらいに聞こえます。

・g が脱落する例
walking：しばしば「ウォーキン」/wɔ́kɪŋ/ のように聞こえます。
swimming も同じく「スウィミン」のように聞こえます。

・h が脱落する例
on her way home：しばしば「オンナーウェイホーム」 /ɑn (h)ɚwéɪhˈəʊm/ のように聞こえます。her の h が弱く発音されて /ɚ/（アー）のように聞こえます。

・I like him.も h の音が消失して「アイライキム」/άɪlάɪk（h）ɪm/ のように発音されます。

・重複する同じ音・似た音が脱落する場合
set top は t の音が重なって1つ脱落し、「セトップ」/sétάp/のような音になります。
take care は k と c の音（いずれも発音上は /k/ ）が重なり、1方が脱落して「テイケア」/téɪkéɚ/のような音になります。
good day は d が重なってひとつ脱落し、「グッデイ」/gˈʊddéɪ/のようになります。

 

3. 同　化　 (Assimilation)

近い音同士が影響し合って音が変化する現象のことを言います。連結の場合も音つながった時にその音が変化しますが、スペルと違う音にはなりません。

「s+y」　「t+y」　「d+y」
miss_you「ミス ユー → ミシュー」 　was_your「ワズ ユア → ワジュア」
Not_yet 「ノットゥ イェットゥ → ノッチェットゥ」　get_you「ゲットゥ ユー → ゲッチュー」
Did_you ［díd(dʒ)júː］「ディドゥ ユー → ディジュー」

 

4. はじき音　(Flapping）

破裂音の「t」「d」を破裂させないで、t が d の音に近く、d が l の音に近く発音される現象。t d が前後を母音に挟まれていて、直前の母音にアクセントがある場合によく発生します。アメリカ英語でのみ起こります。

・母音にはさまれた「t」

letter  /lédɚ　　   water /wˈɔːdɚ

・母音にはさまれた「d」

medal 「メダル → メル」 　　model 「モデル → モル」
「メ」と発音した直後に、舌先を上前歯の歯茎に当て、離さないまま「d」を発音する（舌先を離さない代わりに、舌の両側から息を出すようにする）

・「t+l」「d+l」

little 「リトゥル → リル」　battle「バトゥル → バル」　turtle 「タートゥル → タール」
middle 「ミドゥル → ミル」　handle「ハンドゥル → ハンル」　deadline 「デッドライン → デッライン」
「t」「d」の前の音を発音したら、舌先を上前歯の歯茎に当てたまま「t」「d」を発音する（舌先を離さない代わりに、舌の両側から息を出すようにする）