「売れる商品写真 実践講座」が、美麻商工会の主催で開かれました。
「現役プロカメラマン直伝」と銘打たれた講座の、講師を勤めるのは「Necostudio」代表の森下 齊さん。
森下さんは、「全ての広告で、最初に見られるのは写真」として、「お客さんを連れてくるのは写真」であると強調。
その一方で、写真が実際に「見られるのは、わずか0.2秒」と分析、「写真は見た目が全て」と結論付けます。
「どんなに優れた仕組みを作っても、写真がNGならスルーされてしまう」
では、どうしたら良い写真が撮れるのか。
1 アングル
上から撮影する場合は、一番カッコ良く見える角度を探す。
迷ったら全部撮って、その中から選ぶ。撮り直しが一番ムダ。
90度 レトルト食品などパックされた商品は、寝かせて真上から撮ると、柔らかな被写体も型崩れせず、パッケージが光らない。
70度 宴会料理など料理全品を見せる場合や、麺類・丼ものを撮るとき。衣料品の置き撮りも。
45度 アングルで一番多いのが45度。迷ったらとりあえず45度で撮る。被写体とカメラの水平距離と垂直距離が等しいとき、45度になる。
30度 被写体のアップを撮るとき。
横から撮影する場合
缶飲料やボトルなど高さのある被写体は、背景を立ち上げて低い角度から撮る。
高さのあるものを15度以上で撮影すると、上側が大きく下側が小さく歪んで、頭でっかちになってしまう。
2 シンプルに
並べるときは、商品同士にすき間を空けない。すき間があると、トリミングしたときに目立ってしまう。
また、商品以外の余分なものは入れない。
白い被写体を白バックで撮っても、自然に背景と分離する。
分離しない場合は、明るいグレー・明るいクリーム色など、薄い色を使う。
背景は、布だとシワが寄ってしまうので、白い紙を利用する。
A3サイズの画用紙2枚の長辺同士を、セロハンテープでつないだものが、使い勝手が良い。
3 光の量・方向
よい写真を撮るためには、思ったよりも明るさが必要。
また、光の方向も考慮する。
4 配置
天地左右のスペースは均等に、上はやや広く、下はやや狭く。
スマホで撮る場合、モニターをセンターに持ってきがちだが、レンズをセンターに合わせないと、イメージと違う写真になることがある。
5 少し離れて望遠で撮る
スマホカメラの「1倍」は、広角レンズ(18-28mm)の仕様となっている。
この広角の状態で近づいて撮ると、四角い被写体は台形に変形してしまう。
そこで、スマホのカメラ設定をズーム2倍にするのがコツ。
これで、人間の目と同じ標準レンズ (50mm) 仕様になる。
この設定で、横幅の3~4倍離れて撮影する。
また、望遠で少し小さめに撮ることで、タテでもヨコでも自由にトリミングできるので、写真を使い回すことができ、時間のコストカットにつながる。
なお、四角い被写体は、角度をつけてセットすることでも、変形を目立たなくさせることができる。
上の写真は、ともにズーム1倍で撮影
以上の点に留意して撮影し、その撮影データを記録して次回に活かすと、上達する。
そして、撮影後の確認作業として、正しく理解されうる写真になっているか、他の人に聞いてみること。
「何を売りたいか」ではなく、「お客さんは何を買いたいか」という、お客さんファーストの視点が必要。
「それでは、撮影の実習をしましょう。あ、レンズをキレイに拭くのを忘れないで」
以下が、実習で撮影した写真です。
ビールに塩を入れて泡を出したり、食材にガムシロップを塗って照りをつけたり、などの演出も、商業写真ではよく利用されるとのことでした。
また、アスペクト比について、パソコン用モニターや YouTube 動画は 16:9 が多いが、かなりワイドな画像となるので、写真は 4:3 が良いとのこと。