ハクサイ
アブラナ科
6.0〜6.5
あり:輪作年限2〜3年
中国が原産地のハクサイは、冷涼な気候を好む、秋まき野菜の代表格です。
野菜が乏しくなる時期の強い味方が白菜。ビタミンC、カルシウム、カロテンを含み、腸の働きを助ける植物繊維も多く、カロリーも低いので健康維持に役立ちます。
冬の収穫を目指して、ハクサイをポット撒きしました。長さ5mの畝一列分で9ポットです。
アブラナ科のハクサイには、結球種、半結球種がありますが、主流は結球種です。なかでも球の先端で葉が重なり合う品種(包披形)が多く栽培されています。また、球の形から砲弾形、タケノコ形(紹菜)に分けられ、特にタケノコ形はキムチ漬けや油炒めに向く品種です。
ハクサイの根は細いですが広く分布するので、耕土が深く、排水性、通気性、保水性にすぐれた土壌を用意します。
酸性土だと「根こぶ病」が発生しやすくなるので、土壌の酸度調整はしっかりと行います。pH 6.0〜6.5が目安です。
連作障害を避けるため、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
秋まきの時期が早過ぎると病害虫が発生しやすく、遅すぎると結球しないので、種まきの時期が大切。好光性種子のブラシカ類(アブラナ属の野菜。キャベツ・ブロッコリー・ミズナ・カブ・ハクサイ・コマツナ・チンゲンサイ・ケール・ターサイなど)
元肥を多めに入れ、こまめに追肥して外葉を十分に育てるのがポイントです。
夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行います。
定植する際は、「根鉢 (ねばち:土と根が一体化した固まり)」 が顔を出すくらい、浅植えにします。
畑に直播きする場合は、育苗する場合より遅めの9月上旬に畑にまきます。
ハクサイは発根の力が弱いので、根を痛めやすい移植栽培よりも、直播き栽培の方がスムーズに生育します。しかし、種まき時期が夏場の高温乾燥期で病害虫被害に遭いやすいので、種を多めにまいておきます。
コンパニオンプランツとして、キク科の野菜(シュンギク、レタスなど)を近くに植えることで、害虫がつくのを防ぐ効果があります。
苗が小さいうちは害虫がつきやすいので、植え付け直後に防虫ネットを掛けておくと安心です。
また、収穫期には虫害の心配はなくなりますが、そのままトンネルを掛けておくことで霜よけにもなります。
しかし、防虫ネットをかけても、ハクサイは「コナガ」の被害に遭うことがあります。
コナガは体長約10mmの小さな蛾です。幼虫は体の両端がとがり気味の小さな青虫で、成熟すると約10mmになり、指先で触れると葉上でピンピンと跳ねるような動作をします。
幼虫は葉裏から円形または不規則な形に葉肉だけを食害し、ハクサイ、ダイコン、キャベツ、カブの葉脈のみを残して加害、葉が透けたようになってしまいます。
結球した内部に幼虫が入ったハクサイは、商品価値が落ちてしまいます。
こうした害虫の予防には「オルトラン」が効果的です。
この殺虫剤は、有機リン系の「アセフェート」を主成分とし、植物の根や葉から薬剤が浸透します。植物体内で安定的に作用するので、雨による流亡や日光による分解がされにくく、残効が長いことが特徴です。
使い方は、苗を植え付ける時に少し深めに穴を掘り、オルトラン粒状を2グラムほど入れて穴を少し埋め戻すように土を入れ、よく混ぜてから、その上に苗を植えます。
人間が直接食べることがない、鑑賞用の花などに対しては、害虫が来る時期になったら、株元に散布する方法もあります。
オルトラン粒状を水に溶かして水和剤のように使えるという話もありますが、農薬ですので、そのまま粒状として使用した方が良いでしょう。
ハクサイは外葉が大きくならないと結球しないため、こまめに追肥して外葉を十分に育てます。
1回目の追肥は、定植から2週間後。除草を兼ねて中耕しておきます。その後、2〜3週間おきに合計1〜2回の追肥を行います。
外葉が15枚くらいになると、結球し始めます。
この頃から水分要求量が増えるので、雨が降らない時は水やりをしておきます。
植え付けから約60日後、ハクサイの頭を手で押さえてみて、かたく締まっていたら収穫できます。
外葉を開いて結球部分を横に倒し、根元を切り取って収穫します。
霜や寒風にさらされると、球の頂部や外葉がカサカサになり、そこから腐ったりしてくるため、初霜が降りる前に収穫を終えるようにしましょう。
越冬する場合は、結球部分を外皮で包み込むように、上部を紐で縛っておきます。
こうすると外葉が枯れるだけで中の葉は守られるので、2月頃まで畑に置いておくことができます。