JR伊那駅前でクリーニング会社「芳洗舎」を営む「洗濯王子」こと、洗濯家の中村祐一さんの講演会に参加、洗濯の五つのポイントを学びました。
まずは、衣類に付いている「洗濯に関する5つの基本記号」を見て、衣類に適した洗濯方法を確認します。5つの記号のうち一番右側の記号はクリーニング店での取り扱いに関するものなので、家庭で洗濯する場合は左側4つの記号を読み取ります。
例えば、洗濯に関する記号は、下記のように読み取ります。
ポイント1「衣類はお湯で洗う」
皮脂を溶かすため、40度のお湯で洗うこと。すすぎは水でオーケー。
ポイント2「キチンと洗濯したいなら『縦型洗濯機』を、楽に洗濯をしたいなら『ドラム式洗濯機』を選ぶ」
洗濯とは、汚れを水に移す作業。であるから、汚れがひどい場合は水量を増やすなど、縦型洗濯機なら洗濯物に応じた、こまめな設定ができる。
対して、水量が一定なドラム式洗濯機は、細かい設定にはこだわらず、乾燥まで全てを任せたい人向け。
縦型洗濯機のオススメは、「東芝 DDインバーターシリーズ」の中間クラス。水流まで細かい設定が可能。総体的に、東芝製品のサスペンションとモーターは良質で、音が静か。
パナソニック製品は全てにおいて平均点で、ハズレがない。
ドラム式洗濯機のオススメは「日立 ビッグドラム」。乾燥性能の高さは文句なし。
縦型洗濯機と乾燥機の組み合わせも良い。乾燥機は乾燥機能だけでなく、仕上げ機能も考慮すべきで、ドラムが大きいほどシワになりにくく、ふんわりと仕上がる。そうした観点から、ドラム容量が大きい「日立 DE-N 60WV」が乾燥機のオススメ。
乾燥機を利用する際、洗濯物が乾いたら衣類は取り出し、タオル類はもうしばらく乾燥機にかけると、衣類は痛めずにタオル類はふっくらと仕上げることができる。
乾燥機を使わずにタオルを乾かす場合、20回ほどタオルを振ってから干すと、パイルが立ってふっくらと仕上がる。
ポイント3「洗剤は、汚れ物用・普段着用・おしゃれ着用の三種類を用意する」
粉末タイプの洗剤は、アルカリ度が高く洗浄力が強いため、汚れ物向き。
液体タイプの洗剤は普段着用。
おしゃれ着用の洗剤は、タンパク質を壊さない界面活性剤で作られている。逆にいえば、タンパク質の汚れは落ちにくい。
シミ抜きには「万能クレンジング剤」を使う。作り方は、百均ショップで耐アルコール性のスプレーボトルを買って、消毒用エタノール1: 液体洗剤2 の割合で容器につめる。
この溶液をシミ部分にスプレーして、歯ブラシの柄の部分でこすり (ブラシ部分でこするとケバ立ってしまう) 、汚れを広げてからお湯で洗う。その後に漂白剤を使う。
シミの油分を除去せずに、いきなり漂白剤を使っても効果は薄い。
ポイント4「屋外で干さない」
乾燥記号「日陰の吊り干し」の表示を持つ衣類が圧倒的に多い。衣類はデリケートということ。
皮膚と同じように、衣類にとっても日差しの強い屋外は過酷。外に出すことで黄砂や花粉、排気ガスが付着するリスクも高まる。したがって、室内干しを推奨している。
室内干しで臭いが発生するのは、洗濯物に汚れが残っているというサイン。
ポイント5「アイロンがけまでが洗濯」
アイロンのオススメは「T-fal AQUA SPEED 5336」T-falはフライパンを作っているだけあって、熱の扱いが上手いメーカー。
アイロンのかけ方のコツは、「衣類の表面をパーツ毎に区分して」「アイロンの蒸気を出しながら前に進めて、蒸気を止めて来た道を戻す」
Tシャツであれば、まず袖の部分を縫い目までかけてから、胴部分を縦に半身ずつかける。
Yシャツなら、ボタン部分、袖先の細かい部分をかけてから、袖・背中・正面を半身ずつ、と進める。
ズボンは、まず腰回りを一周。折り目は直接かけるのではなく、縫い目を合わせてから、縫い目から折り目の方向にかけると、結果的に折り目が一直線に整う。
洗濯王子が作った「センタクアトリエ」。おしゃれなキッチンのような、たっぷりと自然光が入る広々とした空間。
もっとも大きな特徴は、効率的な洗濯導線を実現する間取り。洗濯をするための導線をまとめ、全行程が一連の流れで行える作りになっている。「洗う~畳んで、しまう」の工程に必要な移動距離は、わずか3歩。
洗濯機の「コース」を賢く使い分け
おしゃれ着コース(ドライコース)
●特徴……やさしい水流や軽めの脱水で、デリケートな衣類をやさしく洗うコース
●適した衣類……ニット・ワンピース・スカート・制服・スーツなど型崩れしやすい衣類
「おしゃれ着コース(ドライコース)」という表示は、水でやさしく洗う洗濯コースのことで、有機溶剤で洗う「ドライクリーニング」とは全く違います。
「おしゃれ着コース」で洗うときは、型くずれ、色あせ、毛玉、テカリを防ぐ成分が入った「おしゃれ着用洗剤(アクロン)」がおすすめです。
大物洗いコース(毛布コース)
●特徴……かさばる洗濯物を洗うのに最適なコース
●適した衣類……毛布・タオルケット・ベットパッド・カーテン・掛け布団など
縦型洗濯機の場合、洗濯槽の底にあるパルセーター(かくはん羽根)の動きを抑え、洗濯槽をゆっくりと回転させたり長めに停止させたりして、傷みを防ぎながら洗うのが特徴です。標準コースよりも、多くの水と時間をかけて洗い上げます。「毛布コース」という名称がついた機種もあります。