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日本語交流員研修の果てには、輝くソースかつ丼があった

長野県 県民文化部 国際課 多文化共生係の主催による「日本語交流員養成初期研修会」が、伊那市生涯学習センターで開かれました。
研修会の第五回目(最終回)となる本日はまず、公益財団法人 長野県国際化協会 副理事長 春原 直美 さんによる「日本語交流員として ~活動を想定し実践してみよう」と題した講座です。

 

日本語教育に関する統計によると、平成2年との比較で、「日本語教育実施機関・施設数は 821から2,290  (2.8倍)、日本語教師数は 8,329人 から 41,606人 (5.0倍) 、日本語学習者は60,601人から259,711人 (4.3倍) へと増加している」との解説。

長野県内の日本語教室 一覧 >>>

これからニーズが拡大するであろう「日本語交流員」としての役割を理解するため、「もし私たちが突然、家族を連れて外国で暮らすことになったら、新しく住む地域の人たちに、どんな態度をとってもらいたいか?」と、逆の立場を想定したテーマについて、グループで話し合いました。

春原さんの講座の後、地域の特性に合わせた日本語教育を、モデル教室として各地で開講している佐藤佳子さん (中信多文化共生ネットワーク 日本語教育アドバイザー) から、実体験を踏まえた講義。

佐藤さんは、「日本には多くの技能実習生が来日しているが、地域の人とはおろか、職場の人とすら、ほとんど会話したことがない実習生も少なからずいる」と実態を述べ、「そうした実習生にとって、発話の機会となる日本語教室は、貴重な存在」と解説。

しかし、「教師は生徒に合わせて会話をコントロールしているので、教室で先生が話すことは理解できるが、一歩外に出たら周りの人が何を言っているのかわからない、と訴える実習生の声が聞かれる」と指摘、さらに「学習者多数となってしまい、ニーズやレベルに合わせたきめ細かな対応が取れず、一人当たりの発話量も十分でない」と、課題を明らかに。

したがって、「教師と一緒に活動する支援者がいれば、生徒の会話練習量は飛躍的に向上する」と、日本語交流員への期待を強調しました。

続いて、佐藤さんの実際の授業風景を、ビデオで視聴。

授業の内容は、「『日本にいるうちに』という言葉の使い方は、『期限を過ぎると難しい』というニュアンスがあり、『日本にいる間に』という、単純に期間を表す言い方とは異なる」というもので、日本語が母国語である私たちが何気なく使う表現も、外国人が使い分けるには思考が必要なのだと、認識を新たにしました。

さらに佐藤さんは、実習生が日本語教室に通う動機について、「帰国後のキャリアアップのため、日本語能力試験に合格したいから」と、アンケートの結果に基づき説明、「どんな教室なら行きたいか」というアンケート項目に対しては、「たくさん会話ができる」「日曜日の午前中に授業がある」という回答が多かったとして、理由は「授業終了後、仲間とショッピングに行けるから」

技能実習生としてビザを取得するための日本語能力は、日本語能力試験N4合格が条件となる介護分野は例外として、規定の学習時間数をクリアすれば良い、とされています。

その際、教える側にも資格要件は不要なため、実習生によって日本語能力にバラつきがあるのが実情です。

佐藤さんは、「日本語教室の必要性と重要性は、今後ますます高まる」としたうえで、「現行制度では、日本語教師としての要件はあるが、資格がない」と指摘、「若い人が目指せる『資格』として、制度を整備することが急務」と締めくくりました。

「初期研修」に続き、「スキルアップ研修」が計画されているようです。

 

伊那市 ストリート・ストーリー

研修のあとさきに散策した (飲み食いした)、伊那市・中心市街地の様子です。

 

最近は「ガレット (仏 / galette)」が、ずいぶんとポピュラーになりました。

もともとはフランス・ブルターニュ地方の郷土料理の総称で、「薄くて丸い形をした」料理やお菓子を示しますが、日本では、そば粉を使ったクレープを指すのが一般的です。

ガレットのレシピ >>>

伊那地方では2016年、新名物としてガレットを発信していこうと25軒が協力、「信州伊那谷ガレット協議会」を立ち上げました。

協議会加盟店の一つ、「kurabe」のガレットは、高遠産のそば粉をシードルで溶いた生地で焼き上げるそうで、興味をそそられます。

1週間前の前回研修会時、食べてみようと思ったのですが店が見つからず、今日はしっかりとグーグルマプって来ました。

ところが、それらしき店は今日も見当たらず、通行人に訊いてようやく発見したときには12時をまわっており、店内は既に満席でした。

 

19時まで通しで営業しているとのことで、研修会終了後に再訪することとし、研修会場である「伊那市生涯学習センター」の向かいのラーメン店「原点」にてランチとしました。

太麺・コッテリのゴマ辛ラーメン

研修を終えて「kurabe」に再訪したところ、「シェフが外出中で、ガレットは出来ない」との、つれない返事。よほど縁がないものと諦めて駅前に戻り、「日曜日の夕方、開いている店ならどこでも…」と見回すと、「ソースかつ丼」の昇り旗。

 

観光客目当てで「ソースかつ丼」に便乗した店だろうと、期待もせずに注文したのですが…。

見よ、ドンブリのふたを持ち上げる、肉厚なトンカツを。巨漢レスラーを軽々とリフトアップする、往年のロードウォーリアーズを彷彿させます。

そして、濃厚ソースをしっかり染み込ませつつも、カリッとした歯ごたえを残した衣が、私好み。衣が光っているのが、お分かり頂けるでしょうか。

カウンターには、「地元に愛され続けてウン十年」という風格がにじみ出ています。

ママさん含めて写真撮影をお願いしたところ、「30年遅いわよ」と言って、シャッターの瞬間、顔を隠されてしまいました。

表に出ると日はとっぷりと暮れ、赤々と照明が照らされた隣の金物店の店先は、ここだけ上野の問屋街のようです。

昔ながらの風景が地方都市からどんどん失われつつあり、むしろ大都会の東京で見ることができる現象に、妙な感覚を抱かざるを得ません。 

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