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房総半島の勝浦を拠点に、外房線・内房線を暴走する列車旅

房総半島で暴走したのは、列車ではなくて私の胃袋です。

昨夜泊まった「勝浦ヒルトップホテル&レジデンス」を10時にチェックアウト。勝浦漁港方面に向かいます。

安土桃山時代の天正19年(1591年)、徳川家康の江戸入府に伴って勝浦に入った植村土佐守泰忠によってはじめられた「勝浦の朝市」は、佐賀県の呼子朝市、石川県の輪島朝市とともに、日本三大朝市の一つに数えられています。

定休日の水曜日以外は毎日、午前5:00頃から11:00頃まで市が立ち、勝浦漁港で水揚げされた海産物・干物等が並びます。

太平洋に面した勝浦市は黒潮の影響を受けるため、冬は暖かく夏は涼しい海洋性気候であり、快適な環境のはずですが人口は減少傾向、首都圏で唯一、人口が2万人を割り込んでいる市です。

そんなことを思って眺めると、朝市もちょっと寂しい感があります。

 

「まぐろ漬け丼」の看板を発見。

 

店内は観光客や地元の (たぶん国際武道大学の) 学生たちで、午前中から賑わっています。
国際武道大学は、柔道の有段者でもある山口・元市長が「学園都市構想」の一環として誘致、1984年に開学しました。

同大学の学生が、市の全人口の約1割を占めるそうです。

 

味が染み込んだマグロとイカがご飯を覆い尽くす「づけ丼」は、大満足の660円。

ご飯の量が控えめなので、先ほど朝食を食べたばかりですが、ぺろりといけました。

店舗名は「朝市新鮮広場」です。

 

店頭ではイワシを干して「メザシ」を作っていました。
メザシの名前の由来がよくわかりますね。

2週間ほどかけてカラカラに干すそうです。脂身の少ないイワシの方が、上手く仕上がるそうです。
メザシは春の季語。房総にはもう春が訪れているようです。

 

高照寺というお寺の前で海産物店を構える「鈴八」の店頭で、「試食していって」と声をかけられたので、歯ごたえあるエイヒレの干物をかじりながら、女将の話に耳を傾けます。

店頭に並んだタコの話から発展して、歳暮や正月の贈答品の話題に。信州では新巻鮭を贈りますが、ここ勝浦では、タコを丸ごと1匹贈るそうです。

そして、傷一つないタコにこだわるそうで、なぜかというと、「勝浦は港町でしょう。漁に出る男たちを家族は、これが今生の別れになるかもしれない、という覚悟で見送るの。だから無事を祈って、物凄く縁起を担ぐのよ」

信州人にとって海は、感傷のためのもの、というところがありますが、海にすがり育まれ、時に裏切られてきた港町の住人にとって、海は厳しい生活の場そのものなのでしょう。

「何かお土産を…」と切り出した私に、「うちの父親ね、医者からも見放されてたんだけど、この『外房あわび』を点滴に入れたら (点滴?でも確かそう言っていたような…)、元気になったのよ」と女将。話題の引き出しどころか、倉庫まで持っていそうです。

たしかに真空パックされた冷凍アワビ、酒のつまみには最高だろうなあ。このまま自然解凍させて、スライスすれば頂けるそうです。大きさによって価格は800~5,000円と、幅があり過ぎる選択肢です。

ところが、東京でもう1泊する旨を告げると、「あらぁ、冷蔵庫に入れておくならいいけど、ちょっと危ないかしらぁ」との返事。

代わりに、エイヒレの干物を買って店を後にしました。

 

町の南に位置する「遠見岬(とみさき)神社」神武天皇の側近として活躍した天富命を祀っています。

天富命は阿波の開拓を終えた後、東国により良い土地を求めて黒潮に乗り、房総半島南端の布良の浜に上陸、安房の開拓を進めたといわれます。

勝浦駅に向かう途中、「墨名」交差点に海抜の標示。しかしこれは、ユニークな観光案内ではなく、津波を意識した「命を守るための標示」なのでしょう。

 

JR勝浦駅から 11:49 発  JR外房線 安房鴨川行 に乗車。

12:19 安房鴨川 着  JR内房線に乗り換え 13:08発

昨日、蘇我~勝浦間を乗車した外房線は、あまり海が見えませんでしたが、内房線の進行方向左手の座席からは、東京湾が一望できます。(午後の時間帯は、日焼け対策が必要ですが)

海岸線に穿たれたトンネルをくぐるたび、三浦半島に建つコンビナートの煙突が大きくなり、都心に近づいていることを感じさせます。

14:26 上総湊 (かずさみなと) 駅 (千葉県富津市) の線路脇を、鮮やかな黄色の菜の花が彩り、梅の花がピンクに咲き誇ります。やがてこの花が散る頃には、あちこちで桜の木が一斉に花をつけることでしょう。

14:44 君津 着。内房線快速 久里浜行 に乗り換え。14:50 君津 発

木更津 ~ 袖ヶ浦 ~ 蘇我 ~ 千葉 ~ 津田沼 ~ 船橋 ~ 市川 ~ 新小岩 ~ 錦糸町 ~ 馬喰町 ~ 新日本橋 ~ 東京 などを経て、16:32 品川にて山手線に乗り換え、宿泊地の新宿に向かいました。

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