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新宿1泊2,000円。安くて清潔、おしゃれな「ホステル」最前線

参加する予定だったオリンピックボランテイアの研修会が、コロナウィルスのため直前になって延期。高速バスや宿は手配済みだったため、上京はキャンセルせず、「ブラタモリ」よろしく新宿界隈を徘徊することにしました。

予約した宿は、新宿の「IMANO TOKYO HOSTEL / CAFE&BAR」です。

海外を旅行したときには、随分と「ホステル」のお世話になりました。ホステルというのは、低価格で泊まれる宿泊施設のことです。

宿代・食事代を抑えながら、気ままに長期旅行を楽しむ旅人のために、海外の観光地にはたいていホステルがあり、飛び込みで泊まることができました。

高級ホテルが立ち並ぶラスベガスのド真ん中でさえ、一泊1,500円程度でホステルに泊まることができました。

ホステルの起源は、1909年にドイツ人教師リヒャルト・シルマンが提唱した、青少年向けの宿泊施設を普及させる「ユースホステル運動」に由来しています。

ユースホステルはそれぞれの国の協会に加盟して運営していましたが、インターネットの普及によって、自社ウェブサイトや予約サイトによる集客が可能になると、ユースホステルの特徴を持ちながら、ユースホステル協会に所属しない「ホステル」が次々と開業し、これらはゲストハウスあるいはバックパッカーズホステルとも呼ばれてきました。

訪日外国人の増加でインバウンド事業に注目が集まると、投資家や不動産業者、企業などが関わることで、規模の大きい宿泊施設が誕生していくことになります。もはや建物は“ハウス”ではなく、対象としているゲストも“バックパッカー”だけではないので、この時期に誕生した施設は、ホステルという名称が多いようです。

 

研修会が延期になっても、私が旅行をキャンセルしなかったのは、現在のホステル事情を体験したい、という気持ちが強かったことも一因です。

本日泊まった「IMANO TOKYO」は、2F~4Fが宿泊フロアで、1Fにはバーを併設。10人部屋のドミトリーには、ホステルの象徴ともいえる2段ベッドが設置されていました。


ベッドの枕元、800mmの高さには、幅150mmの棚が設置され、スマホや充電器など小物を置くのに重宝しました。もちろん、起き上がったときに、頭をぶつけることのない棚の幅です。

(左) 二段ベッドの上段に登る際、縦に取り付けられた手すりが、たいへん役立ちました。

(右) 窓が少ないビルなので、換気がネックのようです。全ての換気扇が24時間稼働でした。気になるほどの音は出ませんが。

そして日頃、宿で思うのは、電灯のスイッチの位置がわかりづらいということ。宿によっては配線の都合なのでしょうが、とんでもない位置にスイッチが配置されていることがあります。

部屋の中が暗いから、電灯を点けたいのに。初めて入る部屋で暗い中、スイッチの位置を探す作業はちょっとイラっとします。

この宿は、ドアを開けて右側の壁にスイッチが取り付けられた、いたってノーマルな造りなのですが、スイッチが小さいため少し迷いました。部屋に入る前に、スイッチの位置がわかる表示があればいいのにと、いつも思うのですが。


驚いたのは、水回り設備の充実ぶり。洗面所だけでなくトイレ個室にも、スタイリッシュな手洗いシンクが備え付けられています。

(左)  海外のホステルでは、ガランとしたコンクリート部屋の壁にシャワーヘッドがいくつか取り付けられ、隣とはカーテンで仕切られたような簡素なシャワルームが主流でした。

脱衣所もないので、コンクリートの上でズボンを濡らさないように履くのは容易ではなく、サンダルは必需品でした。
個室の脱衣所とシャワールーム、しかもシャンプー・ボディソープ備え付けという、この宿の設備とは隔世の感があります。

(右) ドライヤーの収納方法に国際スタンダードはないので、こんな注意書きも必要になったようです。本体にグルグル巻きにされたコードが、断線したことがあったのかもしれません。

私は、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第3部「ポルナレフ VS エボニーデビル」の章を読んで以来、ドライヤーの取り扱いには慎重です。

この漫画では、ベッド下に括り付けられて視界の利かないポルナレフが、当てずっぽうに「スタンド」の剣を振り回し、部屋中の瓶を割ってしまいます。これがエボニーデビルの奸計、水浸しになった床にドライヤーを放り込み、ポルナレフを感電させようとします。
万事休す、と思った瞬間、ポルナレフの剣が正確に、ドライヤーごとエボニーデビルを貫きます。((;゚Д゚)) 瓶と一緒にわざと割った鏡で、ベッド下からの視界を確保したポルナレフが逆転勝利という、かっこよすぎる展開でした。

対ヴァニラ・アイス戦の「イギー、カッコつけやがって」といい、対J・ガイル戦の「その台詞は違うぞ、花京院」といい、ポルナレフはいいとこ持っていきすぎですね。

 

 

おっと、話はドライヤーです。

実際、日本の100ボルト電圧とは異なり、200ボルトが主流の海外では、ドライヤーなど接触面の大きい電気器具をバスタブに投げ入れた場合、大きな電流が流れて感電死する可能性があるそうです。

水場に近い場所でのドライヤーの扱い、宿側としては気を使います。テーブルに穴を開けて、コードはテーブル下に収納できるようにすれば、ドライヤーの持ち去りも防止できて一石二鳥ではないでしょうか。

必要になるであろう備品の使用収納スペースも、建築の設計段階で組み込んでおければ万全ですね。
こんな台にドライヤーを座らせている宿もありました。


各フロアには共用部としてのラウンジが用意されています。1Fのカフェバーでは、たこ焼きパーティーなどのイベントも開かれているようです。

気になるお値段ですが、このクオリティで税込 2,556円、楽天トラベルの500円クーポン利用で2,056円でした。

 

「IMANO TOKYO HOSTEL」を出て明治通りを渡ると、花園神社が鎮座しています。境内から極彩色の社殿を見上げると、高層ビルに切り取られた夕空の奥に、宵の明星が輝いていました。

 

花園神社の由緒は不明ですが、徳川家康が江戸に入った1590年にはすでに存在しており、その後、当地に内藤新宿 (江戸時代に設けられた宿場の一つ) が開かれると、その鎮守として祀られるようになったといいます。

ご祭神は、倉稲魂神(うがのみたまのかみ)、日本武尊(やまとたけるのみこと)、受持神(うけもちのかみ)の3柱です。

倉稲魂神は“お稲荷さん”ですね。日本武尊は古代伝説の英雄ですが、命日である11月酉の日に行われる祭礼が「酉の市」です。受持神は“保食神”ともいわれ、食物の神様です。

境内にある末社の「威徳稲荷神社」は知る人ぞ知るパワースポットで、2か所にある木造・石像の「とあるモノ」を撫でると、夫婦和合・子授け・恋愛成就のご利益が享受できるとのこと。

「納め大明神」は、古くなった神札や神符(他神社のものは不可)を納める場所ですが、「腹の立つ事なども当神社にお納め下さい」との木札が立っています。ストレスでむしゃくしゃした時など、訪れてみるとスッキリするかもしれません。

花園神社は古くから境内に劇場を設け、見世物や演劇、踊りなどを興行をしてきたことから、境内には「芸能浅間神社」が末社として祀られており、芸能人の名前が書かれた札がたくさん掲げられています。向かって右側には、藤圭子さんが歌った「圭子の夢は夜ひらく」と刻まれた石像がおかれています。

花園神社の境内を通り抜けて本殿の裏から社外に出ると、新宿ゴールデン街のつつましいネオンが輝いています。


新宿ゴールデン街は歌舞伎町1丁目にある飲食店街で、第二次世界大戦後に建てられた木造長屋建ての店舗が、狭い路地をはさんでマッチ箱のように密集しています。

かつては文壇バーなど個性豊かな店も多く、作家、編集者、映画監督、俳優といった文化人が多く集まることで知られ、サブカルチャーやアングラ芸術の発信地のひとつとなっていました。

1980年代後半のバブル景気の最盛期には激しい地上げに見舞われ、これに対して飲食店の店主らが反対運動を展開し、再開発は免れたものの、地上げに屈して閉店した空き店舗が多数放置され、さながらゴーストタウンのようになったそうです。

しかし、飲食店組合が中心となって街の活性化やインフラストラクチャーの整備を推進した結果、2000年代に入ると新規出店が相次ぎ、再び活気を取り戻しました。

近年では、ヨーロッパなど欧米からの観光客で賑わっています。

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