農地法の壁。第一種農地の宅地転用は不可能か

新たな事業用地を探し続けて2年。ついに理想的な場所にめぐり逢い、地主さんとも合意できそうな段階まで進んだのですが、登記簿をとったところ、「条件付所有権移転仮登記」の文字が。

遂に見つけた理想の地、そこに待っていたラスボス「条件付所有権移転仮登記」>>>

地目は畑となっているこの土地が、宅地に転用できるかどうかがポイントになります。地域一帯が、どのような農地に指定されているかによって、転用の可否が決まります。

農業委員会の担当者・小林さんに確認したところ、この地域は「第1種農地」ということでした。

農地の立地基準は5種類

①農用地区域内の農地 <原則不許可>
「農振法」に基づく農用地区域内にある農地で、一般に「青地(アオチ)」とよばれています。青地以外の地区を「白地」とよび、青地から白地に区分を変える手続きが「農振除外」です。

②甲種農地 <原則不許可>
市街化調整区域内で、特に良好な営農条件を備えている農地。具体的には「土地改良事業等から8年経過していない農地」あるいは「10ha以上の集団農地で高性能農業機械での営農に適する農地」です。

③第一種農地 <原則不許可・例外的に許可>
「10ha以上の集団農地内にある農地  (山林、宅地、河川、高速道路など、農業機械が横断できないような土地に囲まれた、集団的に存在する農地)」「土地改良事業等の施行区域内にある農地」「基準的な生産性を超える農地」
例外許可としては農業用施設 (農業体験その他都市との地域間交流のための施設を含む) や農業従事者の良好な生活環境のための施設、住宅の場合は宅地に接続してなら可能性があります。

④第2種農地 <3種農地に立地困難な場合に許可>
市街化が見込まれる区域の農地。具体的には「鉄道の駅、官公庁、バスターミナル等からおおむね500m以内の農地」「用途地域から500m以内にあり、かつ10ha以上の集団的農地から外れている農地」

⑤第3種農地 <原則許可>
市街化が進んでいる区域の農地。具体的には「上・下水道又はガス管のうち2種類以上が前面道路まで埋設されており、かつ500m以内に2つ以上の教育、医療、その他公共施設がある農地」「鉄道の駅、官公庁、インターチェンジ等から300m以内の農地」「街区の面積に占める宅地化率40%以上の区画にある農地「用途地域内にある農地」

第一種農地の農地転用は、ほぼ絶望的

わずかな可能性があるとすれば、

  • ① 当該地は一団の農地の端に位置しているので、10haの集団農地には含めない、という判断ができないか。
  • ② 私が農業者の資格を得て、農地として取得したうえで、農業者である私の住宅用地として転用する。しかし小林さんの見解では 、周辺集落との接続性が認められず、いわば「ポツンと一軒家」状態であるので、住宅地への転用は難しいとの考え。
  • ③ これまで「農用地区域内農地」や「第1種農地」の農地転用は、基本的には工業・倉庫業・卸売業など5業種に限定していたが、「地域未来投資促進法」(平成29年7月31日施行) により、サービス業・観光商業施設・IT関連企業に業種が拡大された。

しかし、利用にあたっては県・市町村・事業者による基本計画策定が必要。

どれも高過ぎるハードルです。

農地法の規制の他にも、接面道路の道路幅など、建築基準法の要件も検討しなければなりません。

「大草原の小さな家」的発想で、気に入った場所に家を建てるということは、現実には厳しいものですね。膨らんだ風船が一気にしぼむように、気持ちがトーンダウンしてしまいました。

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