「冬の病棟」などと言うと、何やら藤村や太宰が執筆した純文学のタイトルみたいだけど、冬季の入院生活はなかなか快適、というのが最近の率直な感想。
リハビリに関しても、ストイックに回数をこなす自主トレーニングと違い、理学療法士さんによる1時間のリハビリは、マッサージに近い。
私は毎日、リハビリを楽しみに待つようになっている。
本日は、「ハムストリングスが硬くなっていますね」ということで、大腿後面をストレッチしてもらいました。
ハムストリングスとは…
股関節伸展と膝関節屈曲の作用を持つ筋。
大腿後面にあり、外側ハムストリングスと内側ハムストリングスに別れており、外側は大腿二頭筋、内側は半腱様筋・半膜様筋で構成される。
走る際に活躍する筋でもあるので「ランニング筋」とも呼ばれる。
ちなみに、食品の「ハム」を加工するときに肉を吊るすため、もも肉の腱 (string = 紐・筋) を使ったことが名の由来といわれる。
大腿二頭筋
長頭と短頭の二頭を持ち、坐骨結節・大腿骨内側から起こり、外下方に走行し、腓骨頭周囲に停止する。
長頭の走行は長く、股関節にもまたがる二関節筋で、膝関節屈曲のほか、股関節伸展時の股関節外旋、膝関節屈曲時の膝関節外旋の働きもする。
短頭は、純粋に膝関節の屈曲筋として作用する。
半腱様筋
大腿二頭筋と同じく坐骨結節から起こり、大腿後面の内側を走行し、脛骨内側に停止する。
膝関節の屈曲に作用するが、股関節にまたがる二関節筋であるため、股関節の運動にも作用する。
半膜様筋
半腱様筋と同じく坐骨結節から起こり、半腱様筋より深層を走行する。
半腱様筋と同じく二関節筋であるため、膝関節屈曲のほか、股関節の運動にも作用する。
ハムストリングスと膝痛
脊椎矯正により心身のバランスを整える「長生療術」という、いわゆるカイロプラクティック療法があります。
その著書に「仙腸関節・骨盤の異常からくる膝の痛みが、非常に多くみられる」との一文がありました。
「二階家を建てるとき、柱を真ん中で切って二本つなぎにすると、支持力は当然に弱くなるので、つなぎ目に補強材として板などを打ちつける」と例え、「膝は柱のつなぎ目であり、補強材の役目をしているのが、筋肉・靭帯・腱である。
上腿 (膝から上) の筋肉や靭帯は、みな骨盤から発して下腿 (膝から下) の骨に付着する一方、下腿の筋肉や靭帯は、大腿骨の下のはしに付着している。
したがって、骨盤の異常は、そこに付着している筋肉や靭帯をゆがめることになる。
補強材である筋肉や靭帯のゆがみは、つなぎ目である膝関節に、異常な重力的負荷をかけることになる」と分析。
「膝痛側の仙腸関節は高くなり、腸骨稜は膝痛の逆側が高くなっている。
また、膝痛側の梨状筋に鋭い痛みがある」と診断しています。
膝関節・股関節にまたがる「二関節筋」という、大腿二頭筋の特徴を考えると、なるほどと思わされます。
私は、手術を受けていない左足についても、「仰向けになったとき、左膝が少し浮いている」と担当の理学療法士に指摘されてしまいました。
「腓腹筋とハムストリングスが縮んで硬くなっている。あるいは、その双方の筋肉が交差する部分の滑りが悪くなっている」とのことです。
スポーツの場面で「チカラを抜く」ってことをよく耳にしますが、余計な拘縮によって筋肉に硬さができると、最大限のパワーが発揮されません。
チカラの入ってない時は柔らかい状態で、ここぞという時にだけグッと硬くなるというのが、理想的な筋肉。
筋肉の硬さを取り除くためのストレッチ法を、理学療法士に指導いただきました。
大腿の筋肉にしなやかさを
足の付け根から引き込むようにして身体を倒し、深呼吸しながら少しずつももの裏側を伸ばしていきます。
背中や腰が丸くならない所まで。
ハムストリングスをストレッチしたら、太もも表側の大腿四頭筋も伸ばしてあげましょう。
ヨガでよく行われる「ダウンドッグ」や前屈も、ハムストリングスのストレッチに効果があります。
しかし、出来るつもりになっていても、背中が丸くなったまま前屈をしていることがよくあります。
身体を前に倒すと、坐骨とすねの骨の距離が遠ざかっていくため、坐骨から膝の後ろ側をまたいで脛の骨に付いているハムストリングスが伸びていきます。
ところが、ハムストリングスの柔軟性が低いと、坐骨がすねの骨方向にひっぱられ、本来なら前屈の際に倒れるはずの骨盤が、うまく倒れません。
骨盤の位置は変わらないのに身体を前に倒そうとするので背中が丸くなり、背中のストレッチとなってしまい、効かせたいハムストリングスに効いていきません。
その場合は、膝を曲げることで、骨盤から背骨のラインをまっすぐ保ちながら前屈していきます。
すると、背中が丸まり始めるポイントがあるので、そこでストップさせます。
そのポイントが、自分に今ちょうどいいポーズが取れる場所です。
深呼吸しながら、少しずつ伸びを深めていきましょう。